No.303 運命じゃない人｜メンタルシネマクラブ

作品名

「運命じゃない人」’04年度作品

監督

内田　けんじ

出演

中村　靖日
霧島れいか

あらすじ

　彼女にふられ、結婚のために買った豪華なマンションで、一人暮らしを続
ける宮田（中村　靖日）だった。

　ある日、友人の神田から突如呼び出され、まじめでオクテの宮田は、レス
トランでナンパした女の子を紹介された。彼女の名前は、桑田（霧島れいか）
という。

　桑田も彼氏の浮気が原因で彼氏と別れ、レストランでブルーになっている
ところだった。そこをナンパされたものだから、喜んで神田たちと合流した。

　いつのまにか神田はレストランから姿を消していた。宮田も桑田もオクテ
な人だったが、お互いの身の上を話して、ギクシャクしながらも打ち解けは
じめた。行くあてのない桑田は、宮田のマンションに泊めてもらうことにし
た。
　マンションにたどりついた二人に、宮田を振った彼女が荷物を取りにやっ
てきた。

お勧めポイント

　これはどう分類したらいいのでしょうか？ラブ、サスペンス、コメディと
いう内容です。

　途中まではオクテな二人のラブストーリーです。とってもピュアな二人に、
ここで見るのを止めたら、とてもハッピーです。ところが、途中から同じ時
間帯を、違う人の観点から描かれ続けます。主人公の二人を取り巻く探偵業
の神田、宮田を振った彼女、さらにヤクザの組長まで加わったドタバタが始
まります。

　それぞれが同じ時間帯に、何を考えてどう行動したのか、それをそれぞれ
の観点で描かれますから、最後まで見ないと、本音が見えてきません。見終
わった後に、もう一度、さらにもう一度と、見直すたびに作品の面白さが増
えていきます。これこそスルメのような作品でしょうか。本音と建前、理想
と現実、これをうまく表現しています。

　主人公の神田ですが、その役を演じる中村　靖日さんは、そのお顔を一目
見ると、独特のまじめさに、このドラマは何かを見せてくれると期待できま
す。

　このドラマは、まず、話の顛末はどういうことか、そして、それぞれの思
惑はどうだったのか、これが見所です。ラブストーリーの結末は、「うそ！」
と思うエンディングが待ち受けていますが、そこで見るのを止めた人は短気
過ぎます。しっかりと最後までみてください。

　この作品、カンヌ国際映画祭でも上映されて話題を呼んだ作品です。夜、
バーボンでも飲みながらじっくりと見られたら、非常に楽しめる作品だと思
います。先ほどもご紹介しましたが、一度ではその良さを１００％知ること
ができませんから、余裕をもってご鑑賞ください。