No.752 記憶屋 あなたを忘れない
「記憶屋 あなたを忘れない」 2020年度作品
平川 雄一朗
明慶大学の卒業を間近に迫った吉森遼一(山田涼介)は、彼女の澤田杏子にプロポーズした。それは受け入れられたように感じたが、翌日から彼女との連絡が途絶えた。街で彼女を見かけたが、まるで知らない人に声を掛けられたような反応をされた。
遼一はSNSで都市伝説になっている「記憶屋」という存在を知った。人の記憶を消すことが出来るモノが実在するというものだ。しかもすべての記憶ではなく、一部の記憶だけを消し去ることが出来るとのことだ。
遼一は「記憶屋」が杏子から自分の記憶だけを消し去ったと考えた。遼一とのすべての記憶以外は何も忘れてなく、今までの暮らしを続けていた。「記憶屋」の存在を遼一が信じたのは、遼一が幼い頃、近所の子供が遼一とのある日の記憶を、きれいさっぱり忘れたことがあったからだ。
遼一の家には幼馴染の河合真希(芳根京子)も同居していた。遼一と同じ大学に通うことになったからだ。真希も遼一の不審な行動を心配した。
ある日、遼一の大学の卒業生で著名弁護士の高原智秋(佐々木蔵之介)が記念講演にやってきた。高原は遼一に興味をもった。遼一に協力して「記憶屋」を探し始めた。高原にも「記憶屋」が必要な理由があった。
織守きょうやさんの小説を映画化したものです。原作は日本ホラー小説大賞読者賞を受賞しましたが、ヒューマンドラマとしても優れた作品です。
「記憶屋」はスピリチュアルな存在ですが、仮にこのようなモノがあるとしたら、どうでしょうか?本作は「記憶屋」を頼りたい人と、その「記憶屋」自体の両方から描かれています。
辛い記憶を忘れられるなら、あなたならどうしますか?忘れることによって前へ進む力を取り戻しますか?それとも、自分で乗り越えて前へ進みますか?
「記憶屋」の方はどうでしょうか?人の記憶を消して良いものだろうか?その人の人生を変える権利が自分にあるのだろうか?親を介護した人、不治の病の家族がいる人は、これを考えたこともあるかなと思います。
本作はパズルの一片を順番に揃えていくような進行になっていて、数々の疑問点が一つずつ解決していきます。そのたびに涙が蓄積され、エンディングの曲で頬を濡らしていきます。この曲は私の人生の応援歌でもあります。この曲を聴いて歌って数々の困難を乗り越えられました。
見終わった後も、いろいろなことを考えてしまいます。それは今自分が直面している事なのかもしれません。残念ながら「記憶屋」は実在しないでしょうが、ある程度なら自分自身が「記憶屋」になれるかもしれません。
佐々木蔵之介さんの声って、本当に優しいですね。それにこの作品のキャラもぴったりです。
自分に一石を投げかけるこの物語を、温かい飲み物と甘いケーキを用意して、どうぞ楽しんでくださいね。
笑える度 ★★
ファイト度 ☆☆☆
ほのぼの度 ★★
スッキリ度 ☆☆
感動度 ★★★★
