配信

No.099 BARに灯がともる頃

作品名

「BARに灯がともる頃」’89年度作品

監督

エットーレ・スコラ

出演

  • マルチェロ・マストロヤンニ
  • マッシモ・トロイージ

あらすじ

 ローマから少し離れた漁師町。兵役中の息子を訪ねて父親(マルチェロ・
マストロヤンニ)がローマからやってきた。久しぶりの再会に最初は弾む話
が続いたが、男二人の話はすぐに途切れてしまった。しかしちょっとしたき
っかけで、再び話に花が咲いた。例えば、BARで横にいた美人からミケー
レ(マッシモ・トロイージ)の恋人の話に、祖父の形見である懐中時計をプ
レゼントされ、子供のようにはしゃぐミケーレといった具合であった。
 今の生活を干渉されたくないミケーレは父親のおせっかいに閉口し、険悪
な雰囲気が漂い始めた。時間つぶしに入った映画館で、それが決定的になっ
た。ミケーレが誰かと楽しそうに電話をするのを見かけた父親は、自分には
見せたこともない笑顔に怒りを爆発させ、息子へのメモを残して帰ることを
決意する。

お勧めポイント

 父親とは何か話しづらい雰囲気が漂って、もっと色々な話があるはずなの
に、それが見つからず、沈黙が続いてしまう。でもひとたび話題が見つかれ
ば子供のときのように何でも話せてしまう。
 父親のおせっかいに閉口するミケーレも父親の顔をしみじみと見た時に、
額に刻まれてシワや髪の白さに親への愛情が蘇ってきます。
 面白いシーンに、息子に彼女がいると分かるや、彼女の家へ押しかけます。
そして息子が出かけた隙に、彼女の身元調査やミケーレの性生活まで調べ始
めます。おまけにミケーレと彼女がキスしている間に、彼女の日記まで見始
めます。
 イタリアを代表する名優二人が競演しています。作品の前半は二人だけの
会話が続きますが、それぞれの持ち味をうまく出しています。マッシモは、
「イル・ポスティーノ」よりもこちらの方が好きですね。彼女のことを父親
に話せた時に見せる、はにかんだ表情がなんとも言えず最高です。マルチェ
ロもマッシモも惜しい俳優が亡くなっているのは非常に残念です。でもこの
作品を通じて忘れることはないでしょう。
 ラストシーンの発着を待つ列車の中で、ポツリポツリと話をする二人がお
しゃれです。テロップが出ても二人が写し続けられます。このシーンや要所
で流れるジャズもおしゃれで、全体のイメージをおしゃれなものにしていま
す。作品名どおり、カクテルでも飲みながら観るとさらに楽しめると思いま
す。
 残念なのはレンタル店に置かれていない場合もあると思います。他店を探
してでも見る価値のある映画です。

ポイント

笑える度 :★★
ファイト度:☆☆
ほのぼの度:★★★★
スッキリ度:☆☆
感動度  :★★★