No.641 お元気ですか?
「お元気ですか?」 ‘15年度作品
室賀 厚
冴子(宮澤 美保)は今日、10人に電話しようと決めて旅に出ていた。まずは勤めていた美容院の店長・弥生さん(長谷 直美)から始まって、一番の恩師、学生時代の親友と電話を掛け続けた。
今までのお礼や言えてなかった言葉を伝えたりしたが、電話を切った後、ノートのリストに印を付けた。
何十年も連絡していなかった人や中途半端な状態で音信が途絶えた人など、それは冴子の歴史を辿る旅のようです。
旅の途中でドライブ中の医学生カップル(丸山 隼人、加藤 藍子)に出会った。彼らと行動を共にした後、宿泊予定のホテルへ冴子は着いた。
このカップル、医学生だけあって人間観察に秀でていた。冴子の様子がちょっと気になっていた。
冴子はホテルを外出して、いよいよ10人目の人に電話をすることにした。これが電話するべき最後の人だった。
ロードムービーですが、通常、主人公が旅先で経験したことから人生の分岐点になるものが描かれます。この作品は旅先での出会いもありますが、主に彼女が電話する相手との人間関係が描かれていきます。
9人目までは彼女の歴史を、10人目に電話する相手は彼女の今を左右する人になります。
物語冒頭から流れるBGMは、ロードムービーにぴったりの数々です。まずは物語に入り込んで旅を楽しんでください。
その中で主人公が自分の夫や子供と旅した様子なども描かれていますが、その辺りから冴子の不自然な会話や言動に違和感が出てきます。
主人公がどういう立場に置かれているのか、それが分かってきた時、電話相手が冴子の現状を知らないということもありますが、電話相手との会話で主人公がいかに傷付くか、観ていて涙してしまいます。
主人公がこれまで出会った人には、主人公を大切に思ってくれている人もいましたが、しがらみがあって知り合っただけの人もいました。でも彼女の誠実な人柄が多くの素晴らしい人と巡り合わせてくれているのを感じます。特に10人目の人との出会いは奇跡です。その人からのメッセージにも涙です。
この作品を観て思い出した言葉があります。『あなたが虚しく過ごした今日という日は、昨日死んでいったものが、あれほど生きたいと願った明日』
これは韓国のベストセラー小説「カシコギ」の一節です。
この言葉を胸に、今日を迎えることが出来た私たちは、精一杯生きていくことを、活かされた命を大切にしたいと思います。
笑える度 ★★
ファイト度 ☆☆☆☆
ほのぼの度 ★★
スッキリ度 ☆☆
感動度 ★★★★
