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No.114 初恋のきた道

作品名

「初恋のきた道」’00年度作品

監督

チャン・イーモウ

出演

  • チャン・ツィイー

あらすじ

 父の悲報を聞いた青年ルオ・ユーシャンは、生まれ故郷の小さな村に帰っ
てきた。そこには年老いた母親がただ一人、悲しみに沈んでいた。村長の話
によると外出先で倒れた父は、担ぎ込まれた町の病院でそのまま息を引き取
ったと言う。村外で亡くなった人は、その遺体を村まで担いで帰る古い慣わ
しに従いたいと、母親がゴネて困っていることも聞かされた。ルオは母親と
父親がどうやって知り合い、結婚し、自分が生まれたのかを聞かされた話を思
い出した。

 村に初めて先生がやってきた。都会から募集をみてやってきた若い教師ル
オ・チャンユーだった。先生が村へやってきた日は村を挙げての大歓迎だった。
その中に少女チャオ・ディ(チャン・ツィイー)もいた。彼女は先生を一目見
るなり気に入り、その日から熱烈なアプローチが始まった。しかし、村では身
分の違う、ましてや都会からきた先生との恋愛は許されていなかった。チャオ
の気持ちに気づいたチャオの母親や村長が、諦めるように嗜めるが、チャオの
気持ちは高まるばかりだった。

お勧めポイント

 1通のeメールを受信しました。「最近、メンタルビデオクラブで紹介さ
れる作品は、ほのぼのとしたものばかりなので、泣ける作品を紹介して欲し
い」という内容でした。年末年始と楽しい気分になれるものを中心に選んで
いましたが、今年も1ヶ月が過ぎましたので、ご要望どおりの泣ける作品か
ら選んでみました。この2年ぐらいに一番泣けた作品は?と考えたところ、
この作品を思い出しました。

 中国の村が舞台です。とてものどかな村です。そして登場する主人公チャ
オも風景の鮮やかさに負けない素朴な少女です。ひたむきに一人の男性を思
いつづけ、雪が降ろうと、嵐がこようと、誰が何と言おうと、自分の信じた
道を歩み続けます。物語のはじまりはモノクロです。セピア色の風景をバッ
クに重々しい語りが始まった時には、とても重そうな物語に思えました。で
も物語が進むにつれて、物語の中に引き込まれていきます。そして回想のシ
ーンは逆に天然色で映し出されます。その野原を飛び回る少女の可憐さに心
奪われることでしょう。
 なぜチャオが亭主の遺体を担いで帰らせたいのか、二人の回想シーンを見
ていけば、当然のことだと納得させられます。元々、慣わしの意味は、村外
で亡くなった人が無事に村まで戻って来られるように、時々振り返ってはそ
の人の名前を叫び、道先案内をするためだそうです。そしてその道は「初恋
のきた道」でもあるのです。二人にとってその道は大切な道なのです。
 泣かせ所は後半ですが、ほとんどの人は棺を担いで行進するシーンで泣い
てしまうことでしょう。そしてその後に残されているシーンも追い討ちを掛
けるように泣かせてくれます。
 監督のチャン・イーモウといえば、以前ご紹介した「秋菊の物語」、これか
らご紹介したい「あの子を探して」と、どの作品も純粋な主人公が織り成す物
語を手がけています。どの作品もお勧め作なので、ぜひ見てみて下さい。これ
からも活躍が楽しみな監督です。

ポイント

笑える度 :★★
ファイト度:☆☆
ほのぼの度:★★★★★
スッキリ度:☆☆
感動度  :★★★★★