No.173 かあちゃん
「かあちゃん」’01年度作品
市川 崑
天保末期の江戸、飢饉と税の徴収で、人々の暮らしは貧窮に喘いでいた。
そんな時代に貧乏長屋に住む6人家族だけは、近所付き合いもあまりせず、
もっぱらお金を貯め込んでいると評判だった。
その噂話を聞きつけた勇吉(原田 龍二)は、その家にこそ泥に入った。
しかし運悪く、おかつ(岸 恵子)に見つかってしまった。この女将さん、
泥棒に怯むどころか、「どうしてもこのお金がほしいなら、このお金がどん
な金か聞いてからにしてくれ。」と諭すように話し出した。
おかつ一家が一心に貯めこんだそのお金は、現在、牢に入っている大工職
人の源さんに渡すためだと言う。源さんは、おかつの長男、市太の大工仲間
だったが、その顔を知っているのは、市太とおかつだけで、他の4人は、顔
も知らない他人のために、文句一つ言わずに働いていると知った。
なんともほんわかとした物語です。
おかつを初めとする親子は誰一人、他人を疑うこともせず、一生懸命に生
きています。その背景にはおかつの人柄が大きく関わっています。実際にこ
んな家族はいないだろう、と思いながらも、最後まで、じっくり見てしまう
作品です。
市川監督と言えば、だいたいの作風が判ると思います。また、主演の岸恵
子さんが本当に良い味を出しています。江戸っ子という気風の良さがあるの
ですが、どこか和んでしまって、ついつい「かあちゃん」と言いたくなりま
す。
物語の最初に、居酒屋で町人達の噂話も面白く、その時点で引きずり込ま
れてしまいます。
原作は山本周五郎さん。当クラブでも「雨上がる」「ひとごろし」と山本
周五郎さん原作の作品を推薦してきました。この作品も文句なしに和める作
品ですので、花見を楽しんだ後にでも、御覧頂けたら最高かと思います。
笑える度 :★★★
ファイト度:☆☆☆☆
ほのぼの度:★★★★★
スッキリ度:☆☆☆
感動度 :★★★
