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No.178 砂の器

作品名

「砂の器」’74年度作品

監督

野村 芳太郎

出演

  • 丹波 哲郎
  • 加藤 剛
  • 森田 健作

あらすじ

 蒲田駅構内で死体が発見された。殺人か事故か、ベテラン刑事の今西(丹
波 哲郎)は若手刑事の吉村(森田 健作)と捜査を始めた。捜査を続けて
いくうちに、該者が近くのスナックで誰かと飲んでいたことが判明した。さ
らにその会話の中に、「カメダ」という言葉が何度も出ていたのが判った。
 この「カメダ」とは人名か、はたまた地名なのか、あるいは別の何かを意
味するのか、該者の身辺を調査するも、手掛かりは掴めなかった。ただ一つ、
該者について判ったのは、誰からも尊敬される元警官であり、人から恨みを
かうような人物ではなかったということだった。
 捜査は行き詰まり、このまま迷宮入りかと思われた矢先、該者が勤務して
いた土地が亀嵩(かめだけ)だと判った。そして謎が一つ一つ解き明かされ
ていった。まるで砂の器を抉る海水のように。

お勧めポイント

 メンタルビデオクラブ初めての推理作品です。でも内容はメンタル的な作
品です。
 まず、私が10代、20代の頃に見たこの作品は、殺人者がどうして殺人
をする必要があったのか、その理由は彼の育った環境に関係していました。
行く宛ての無い放浪の旅を描いたシーンは涙を誘います。どうして殺人まで
しないといけなかったのかがよく判ります。このシーンに心打たれていまし
た。
 ところが、30代になってこの作品を見直してみると、このシーンよりも
別のシーンで涙が溢れてきました。殺人者の父親で、息子とは遠い昔に生き
別れているのですが、刑事が息子と思われる人物の写真をもって、聞き込み
に現われた時、とっさに息子の身を案じて、一生懸命に、否定するシーンで
す。
 親というのは幾つになっても我が子の事を心配してくれるのが、痛いほど
伝わってきました。それだけ私も親の立場に近くなってきたということなの
でしょう。私だけでなく友人も、同じようにこのシーンが一番感動するよう
になったと言っていました。
 映画って観る人の年代によっても受ける印象が変わるのを、この作品で知
りました。一度観たからと思わずに、良いと思った作品は何回も年代を超え
て御覧になるのをお勧めします。
 松本清張さん原作のこの作品は、ストーリーとしても見応えが十分にあり
ます。

ポイント

笑える度 :★
ファイト度:☆☆☆
ほのぼの度:★
スッキリ度:☆☆☆
感動度  :★★★★★