作品名
「上海恋香」’04年度作品
監督
野村 泰夫
出演
- 伊藤 歩
あらすじ
両親に代わって、育ててくれた祖母・紀子(伊藤 歩)が亡くなった。彼
女の遺言は自分の骨を上海にまいて欲しいというものだ。
祐美子(伊藤 歩:二役)は、祖母の遺品から上海に住んでいた頃の住所
が判かった。残された遺品は、古い一枚の写真と香炉、そして、
「逢 直 帰 上海 恋思」と書かれた手紙だけだった。祖母の記憶は、中
国の歌を口ずさみ、時には涙する姿だけで、上海で暮らしていた頃の話は、
何一つ聞くことは無かった。
上海で祖母が何をしていて、どのような訳があって上海への散骨を希望し
たのか、その謎を解くため、単身、上海へと向かった。
お勧めポイント
流れてくる中国の古い曲、セピア色の映像、慎ましい生活、そして淡い恋
と、知らず知らずのうちに引き込まれてしまいました。
紀子に何があったのか、中国と日本の悲しい歴史、関係を背景に、静かに
ストーリは進行していきます。
上海と日本は遠く離れていて、おいそれとは行けない距離にあります。で
も距離以上に深い溝があったのです。恋人たちの距離は、すぐ隣で寄り添う
ほど身近に感じられます。それなのに、肌のぬくもりも、その笑顔も、直接
見ることはできません。ただ、お互いの香りだけが昔と同じように、自分を
包んでくれています。もう一度、恋人の手に抱かれるのを夢見ながら、その
思いは叶わずに、時は過ぎていくのでした。どんな思いで毎日を過ごしたの
か、夢の中だけで物語は進むのでした。
主人公の紀子が彼に見せる最後の挨拶が、とっても可愛らしく、泣き出し
てしまいそうな気持ちを抑えて、精一杯明るく振舞おうとするのが健気で涙
を誘います。
真実が描かれることもなく、物語は終わってしまいます。その分、色々な
憶測をしてしまい、さらなる哀愁を感じてしまいます。
WEBで公開されたこの作品が、DVDレンタルされていますので、ぜひ
ご覧ください。
ポイント
笑える度 :★
ファイト度:☆☆
ほのぼの度:★★★
スッキリ度:☆
感動度 :★★★


