配信

No.355 悲しき天使

作品名

「悲しき天使」 ’06年度作品

監督

大森 一樹

出演

  • 高岡 早紀
  • 山本 未來
  • 岸部 一徳

あらすじ

 河野(高岡 早紀)と沖島(岸部 一徳)は刑事だ。殺人犯を捕まえるた
めに別府にいた。
 
 そこに容疑者松下(山本 未來)が姿を現すと思ったのは、昔の彼である
関川が住んでいたからだ。しかし、その関川は結婚していて息子もおり、幸
せに暮らしているのが判った。
 
 松下が来るとの確信はないが、他に行くあてのない松下は、ここに現れる
と信じて張り込みを続けた。
 
 河野には恋人が、沖島には別れた妻子が、刑事という仕事が、それぞれの
人生に大きな影を投げかけていた。
 
 松下が殺したのは、実の父親だった。なぜ殺さなければならなかったのか、
張り込みを続けていくうちに、松下の生きてきた道が明らかになってきた。
 
 

お勧めポイント

 刑事の張り込みを描いたヒューマンドラマです。
 この作品を観て、松本清張さん原作の「張り込み」という映画も思い出し
ました。こちらも文字通り、張り込みを通じて登場人物の人生模様を描いて
いました。
 
 「私の人生を無茶苦茶にしやがって」松下が父親に言い捨てた最後の言葉
でした。
 
 松下と関川がどうして別れたのか、そこには父親が絡んだ暗い過去があり
ました。松下が拳銃を常に持っていたことも判ってきますが、その理由は、
刑事の娘であった河野にも通じるところがありました。
 
 殺人犯の松下と関川の関係だけでなく、河野と沖島の人生風情まで、この
作品では描かれていて、張り込みの間の会話から色々なことが判ってきます。
 
 河野と沖島のとぼけた会話が、なかなか楽しいです。シリアスな会話をし
ているかと思えば、セクハラ紛いのやりとりまで飛び交います。
 また、男と女の考え方の違いというテーマもあって、なかなか興味深いで
す。
 
 テーマ曲が哀愁の漂うメロディで、ラストシーンでは松下や河野の人生模
様が明らかになっているだけに、二人と共に泣いてしまいます。
 
 松下は別府に現れるのか、そして関川とどのようにコンタクトを取るのか、
考えられる経路は警察が包囲網を引く中、逮捕できるのか、こちらもなかな
か見応えのあるストーリになっています。
 
 ブランデーにパイプ煙草が似合いそうな作品です。ぜひ、ご覧ください。

ポイント

笑える度 :★★
ファイト度:☆☆
ほのぼの度:★★
スッキリ度:☆☆☆
感動度  :★★★★