作品名
「おのぼり物語」 ’10年度作品
監督
毛利 安孝
出演
- 井上 芳雄
- 肘井 美佳
あらすじ
片桐聡(井上 芳雄)は29歳になっていたが、マンガ家を目指した。唯
一の連載があるのを頼りに、大阪から上京を決意した。
しがないマンガ家が借りられるのは、ワケ有物件ばかりであった。ようや
く借りれたアパートからは、東京タワーならぬ田無タワーが見えていた。
さらに、学生時代の友人である野島由美子(肘井 美佳)とも東京で再会
し、親交を深めた。その喜びもつかの間、連載していた雑誌が休刊となり、
上京から2週間で無職になった。
実家から送ってきた生きたカニは、最初ペットとして飼っていたが、食べ
るものがなくなり、とうとう食料になってしまった
おまけに、格安アパートの松風荘も、持ち主が亡くなったのを理由に退去
通知が貼り出された。
四面楚歌にも思える片桐であったが、彼に目を掛けてくれる編集者や野島
の励ましがあり、どうにか東京での生活を続けていった。
そんなある日、大阪から連絡があり、父親がガンになったことを知らされ
た。
お勧めポイント
単身で上京した若い人を描いたヒューマンドラマです。
同名のマンガが原作で、作者の自伝でもあるようです。
主人公は東京に来てから次々と問題に直面します。見ていて、この主人公は
どうなってしまうのかと、自分のことのようにハラハラドキドキしてしまいま
す。
でも、周りの人たちとの何とも言えない空気の中、主人公は生きていきます。
笑えるのが、彼を応援してくれる編集者の一人です。彼の作品を見ても、と
くに感動しないのに、「ドンドン忙しくなっていく気がする。とくに理由はな
いけれど。」ととぼけた励ましをします。
物語の後半は、父親の闘病が出てきますが、ここから泣けるシーンが始まり
ます。病から女房のことも思い出せないのに、息子については「カラスヤ サ
トシというマンガ家だ。」と説明します。
松風荘で暮らす住人たちも、どこか謎めいたところがある人々ばかりですが、
打ち解けてみると、みんな良い人ばかりです。
この作品は、「全てのおのぼりさんに捧げます」というメッセージが出てき
ます。夢をもって上京してきた人に、色々あるけれど、なんとかみんな生きて
ますよ、とやさしく背中を押してくれる作品です。
この映画に似合うとは思えませんが、主人公はお酒が好きらしくワンカップ
酒を飲むシーンが良く出てきます。自分の一番好きな飲み物を片手に、のんび
りとご覧ください。肩のこらないノホホンとした作品です。
哀川 翔さんも登場するのですが、エンドロールを見ると、「愛情出演」な
る但し書きが笑えました。お見逃しのないようにしてください。
ポイント
笑える度 :★★★★
ファイト度:☆☆☆
ほのぼの度:★★★★★
スッキリ度:☆☆
感動度 :★★★


