No.382 おのぼり物語
「おのぼり物語」 ’10年度作品
毛利 安孝
片桐聡(井上 芳雄)は29歳になっていたが、マンガ家を目指した。唯
一の連載があるのを頼りに、大阪から上京を決意した。
しがないマンガ家が借りられるのは、ワケ有物件ばかりであった。ようや
く借りれたアパートからは、東京タワーならぬ田無タワーが見えていた。
さらに、学生時代の友人である野島由美子(肘井 美佳)とも東京で再会
し、親交を深めた。その喜びもつかの間、連載していた雑誌が休刊となり、
上京から2週間で無職になった。
実家から送ってきた生きたカニは、最初ペットとして飼っていたが、食べ
るものがなくなり、とうとう食料になってしまった
おまけに、格安アパートの松風荘も、持ち主が亡くなったのを理由に退去
通知が貼り出された。
四面楚歌にも思える片桐であったが、彼に目を掛けてくれる編集者や野島
の励ましがあり、どうにか東京での生活を続けていった。
そんなある日、大阪から連絡があり、父親がガンになったことを知らされ
た。
単身で上京した若い人を描いたヒューマンドラマです。
同名のマンガが原作で、作者の自伝でもあるようです。
主人公は東京に来てから次々と問題に直面します。見ていて、この主人公は
どうなってしまうのかと、自分のことのようにハラハラドキドキしてしまいま
す。
でも、周りの人たちとの何とも言えない空気の中、主人公は生きていきます。
笑えるのが、彼を応援してくれる編集者の一人です。彼の作品を見ても、と
くに感動しないのに、「ドンドン忙しくなっていく気がする。とくに理由はな
いけれど。」ととぼけた励ましをします。
物語の後半は、父親の闘病が出てきますが、ここから泣けるシーンが始まり
ます。病から女房のことも思い出せないのに、息子については「カラスヤ サ
トシというマンガ家だ。」と説明します。
松風荘で暮らす住人たちも、どこか謎めいたところがある人々ばかりですが、
打ち解けてみると、みんな良い人ばかりです。
この作品は、「全てのおのぼりさんに捧げます」というメッセージが出てき
ます。夢をもって上京してきた人に、色々あるけれど、なんとかみんな生きて
ますよ、とやさしく背中を押してくれる作品です。
この映画に似合うとは思えませんが、主人公はお酒が好きらしくワンカップ
酒を飲むシーンが良く出てきます。自分の一番好きな飲み物を片手に、のんび
りとご覧ください。肩のこらないノホホンとした作品です。
哀川 翔さんも登場するのですが、エンドロールを見ると、「愛情出演」な
る但し書きが笑えました。お見逃しのないようにしてください。
笑える度 :★★★★
ファイト度:☆☆☆
ほのぼの度:★★★★★
スッキリ度:☆☆
感動度 :★★★
