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No.411 蒲田行進曲

作品名

「蒲田行進曲」 ’82年度作品

監督

深作 欣二

出演

  • 平田 満
  • 松坂 慶子
  • 風間 杜夫

あらすじ

 東映の映画スターを自負する銀四朗(風間 杜夫)は、ライバルの橘ととも
に京都で撮影の真っ最中であった。
 
 銀四朗は大ぼら吹きで威勢が良いが、さみしがり屋の一面もあった。彼の取
り巻きたちは、そんな銀四朗をどこか憎めずに、彼の周りに集まっていた。
 
 ある日銀四朗は、取り巻きの一人であるヤス(平田 満)に、自分の恋人で
ある女優の小夏(松坂 慶子)と一緒になるように薦めた。
 
 小夏は銀四朗の子供を身ごもったのだが、財界の大物の令嬢と結婚した方が
良いと考えた銀四朗は、ヤスに小夏を押し付けたのであった。
 
 予てから小夏のファンであったヤスは、嫌がる小夏のことを気にも留めずに
仕事に精を出し始めた。そんなヤスをみて、小夏も徐々に心を許していった。
 
 銀四朗が主演で撮影中の新撰組で、そのクライマックスを飾る階段落ちの見
せ場があった。ところが10mはあろうかという階段落ちを引き受ける役者が
いなかった。
 
 監督はこの階段を短くして撮影しようと考えたが、自分の見せ場がなくなる
銀四朗は撮影所から失踪した。
 
 そんな銀四朗を見かねたヤスは死を覚悟して、この役を決めた。当然、産ま
れてくる子供をもつ小夏は大反対した。
 
 

お勧めポイント

 松坂慶子さん、風間杜夫さん、平田満さん主演の人情喜劇です。
 
 大部屋役者の暮らしがどんなものか、この映画を見ればよくわかります。お
金もないし、名声もない、何もないけれど、若さと情熱、時間だけは有り余る
ほどある。この作品には本当にそんな暮らしをしている人がたくさん登場しま
す。
 
 友情出演に、千葉真一さんや真田広之さん、志穂美悦子さんなどが登場する
映画シーンがあります。これ以外にもいろいろな人が登場しています。
 
 主題曲はタイトルどおり「蒲田行進曲」で、松坂慶子さんたちが歌って大ヒ
ットしました。東京にお住いの人は、JR京浜東北線蒲田駅でこのメロディが流
れるのをご存じだと思います。また挿入歌で、中村雅俊さんが歌う「恋人も濡
れる街角」もヒットしました。今でもカラオケで歌う人がいると思います。
 
 この作品、「蒲田行進曲」なのに、蒲田撮影所ではなく京都撮影所が舞台に
なっています。脚本のつかこうへいさんは、蒲田撮影所をイメージして作った
のですが、京都撮影所であった階段落ちの話を聞いて、京都撮影所になったら
しいです。
 
 主人公の小夏は銀四朗と結婚するつもりでいました。でも銀四朗に捨てられ
て、おまけに新しい彼女との仲をとりもつことさえお願いされます。何もかも
嫌になった小夏の面倒を見てくれるのがヤスです。いくら当りちらしても、ヤ
スはヘラヘラと笑って小夏の面倒をみます。
 ヤスの母親は、小夏のお腹の子供がヤスの子ではないのを悟りながら、ヤス
を裏切らないことを嘆願します。このシーンには涙が出ます。
 
 ドタバタ喜劇がずっと繰り広げられますが、最後の階段落ちをヤスが決意す
るところから、涙なくして見られないシーンが続きます。
 
 階段の一番上から見下ろす風景は、ぞっとするほど高いです。ここから後ろ
向きに落ちるのは、本当に怖い話です。10m39段ある階段の上から新撰組
土方歳三に切られた勤王の浪士は、落ちていくのです。

ポイント

笑える度 :★★★★
ファイト度:☆☆☆
ほのぼの度:★★★★
スッキリ度:☆☆
感動度  :★★★★