配信

No.420 息もできない

作品名

「息もできない」 ’08年度作品

監督

ヤン・イクチュン

出演

  • ヤン・イクチュン
  • キム・コッピ

あらすじ

 サンフン(ヤン・イクチュン)は、何かと言えばすぐにキレる取り立て屋だ。
暴力を振るうのが日常茶飯事だったが、取り立ての成果は良かった。グループ
内では兄貴分と怖がられ、一目を置かれていた。ニコ上のボスのマンシクは、
サンフンの友達であり良き理解者であった。
 
 ある日、道端にツバを吐きかけたところ、通りがかった女子高生ヨニ(キム・
コッピ)の服に掛ってしまった。ヨニはサンフンに文句を言ったが相手にされ
ず、逆に殴られてしまった。
 
 ヨニが目を覚ますとサンフンがおり、ヨニの服は綺麗になっていた。この事
件からヨニとサンフンは、たびたび会うようになった。サンフンもヨニも似た
家庭環境で育っており、そんな話を何もせずとも、どこか同じ匂いがするのを
感じていた。
 
 ヨニと付き合い始めて、サンフンに変化が現れた。
 
 

お勧めポイント

 韓国のヒューマンドラマです。今回はいつも紹介する作品に比べると、非常
に過激な作品です。暴力やら血が苦手な方はご覧にならない方がいいです。で
も観てしまうと、涙なくして見られない良い作品です。
 
 いきなりの暴力シーンから始まり、何かと言えばすぐにキレる主人公に嫌気
がさしてしまいます。日本でもこんなチンピラを必ず見掛けると思います。ど
うしょうもなくて、本当に困った奴だと思ってしまいます。
 
 ところが物語が進むにつれ、どうして彼がそのような性格になったのか、明
確に判ってきます。雲が散って青空だけが残されるように。この辺りの人間描
写が、この作品は本当にうまいです。それとともに主人公に感情移入してしま
い、主人公が泣くシーンの頃には、もらい泣きしてしまいます。
 
 主演はヤン・イクチュンさんです。この人、本作では監督から脚本、製作、
編集までこなしています。元々は韓国のインディー映画で俳優だったのが、こ
の作品で長編初監督を熟しました。自分で考えた作品だからこそ、完璧な仕上
がりです。
 
 共演のキム・コッピさんは、どこにでもいそうな女子高生ですが、彼女も自
分の置かれている環境をヒシヒシと伝えてくれます。
 
 主人公たちが置かれている環境は本当にひどいです。この環境から抜け出す
にはどうすればいいのだろうかと、主人公たちの立場になって考えてしまいま
す。その糸口がせっかく見つかったのに。このシーンも涙してしまいます。
 
 この作品は色々な賞を取っていますが、それは当然といえます。暴力的なシ
ーンが多くR15+にもなっていますが、ご覧になられた後は観てよかったと思
う作品の一つだと思います。
 
 作品のキャッチフレーズに『二人でいる時だけ、泣けた。』この言葉が示す
ものがよくわかります。
 
 暴力的なシーンが大丈夫かなと思われた人は、DVDには予告編がついてい
ますから、まずそちらで確認してみてください。“借りてからそんなことを言
われても”と言われるかもしれませんが、本当に良い作品なんです。
 
 それでもどうもと言う方は、主人公は辰吉丈一郎さんに似ています。共演の
女子高生は多部未華子さんに、どうしようもない女子高生の親父さんは、ぽっ
しゃんに、主人公の弟分は名前が出てきませんが???さんに似ています。誰
に似ているかなと考えながら観ると、少しは楽しくなるかも。でもおそらく見
始めると、そんな余裕もないと思います(汗)。

ポイント

笑える度 :★★
ファイト度:☆☆☆
ほのぼの度:★
スッキリ度:☆☆
感動度  :★★★★