作品名
「森崎書店の日々」 ’10年度作品
監督
日向 朝子
出演
- 菊池 亜希子
- 内藤 剛志
あらすじ
貴子(菊池 亜希子)は、上京し会社勤めをしていた。1年半付き合った
彼には別の女性がいて、その女性と結婚すると聞かされた。落胆した貴子は、
退職を決意した。
落ち込んでいる貴子を気にした実家の母親は、弟のサトル(内藤 剛志)
に相談した。サトルも東京にいて、神田で古本屋を営んでいるのだった。
本屋を手伝う代わりに2階に住まわせてもらうことになった。サトル自身
は別に家があるので、営業が終われば帰ってしまう。手伝えば、何よりも家
賃や光熱費が要らないのが魅力だった。
店番をしていると、いろいろな客がやってきた。3坪ばかりの小さな店に、
客が突然現れたかと思えば、無言無表情で去っていく。
買わずに出ていく人も多いが、たまには100円程度の安い本が売れる。
おまけに、常連の客は毎日のように来るが、ほとんど話相手だけという状況
だった。
仕事に追われる暮らしをしていた貴子だったが、ゆったりとした時間の中
で過ごすようになった。
本と縁のない暮らしだった貴子が、徐々に本に魅了されていった。そして
神田街とも馴染んでいった。それとともに、心の傷も癒えていった。
そんなある日、街で元の彼氏を目撃した。
お勧めポイント
ゆったりとした時間の流れを感じさせる作品です。
本に興味をもって、何か読んでみたい気分になる作品です。たまには古本
屋めぐりでもしようかな、と思わせる作品です。
古本屋の2階で寝食をとる貴子ですが、周りにはたくさんの本が積み上げら
れています。たまたま興味をもった本を読みだしたら、暇なこともあって、読
破してしまいました。それから次々に本にふれ、寝る間も惜しんで家中の本を
読みだします。
古本のかび臭い匂いにむせる貴子でした。本と親しんでいるうちに、この匂
いがたまらなく好きになり、アロマのような存在になります。
古本って、先に読んだ人の跡が残っていることがあります。線がひかれてい
たり、書き込みがあったりします。前に読んだ人に共感したり、その人がどん
な人だろうかと想像したりと楽しみが広がります。
神田の古本屋街の出店作業や古本屋に出入りする風変りな人々など、そして
個性的な本屋が並んでいるのを、神田に行かなくても見ることができます。ま
た、入札や神田古本まつりと、神田でないと実際には見られないシーンもあっ
て楽しめます。
森崎書店で本を買ったときの手続きなども見ていて楽しいですね。
サトルさんのような叔父がいれば、傷ついた心も癒されると思います。また、
近所にある店も落ち着きがあって、ゆっくり読書や何もせずにボーっとしてい
たくなります。こういう喫茶店を隠れ家のようにキープしておきたいものです。
この作品はゆっくりとした時間の流れを感じるのと、好きなことを仕事に出
来る喜びを教えてくれる作品です。
主人公の貴子は失意に落ちこんでいましたが、この街と本、本に関わる人々
に出会って、新しい人生に旅立ち決意をします。
実はサトルも、自分の生きる道が判らなくなって、人生に迷った時期があっ
たのです。だからこそ、貴子の気持ちがよく判ったのです。サトルが自分の話
をするシーンは、とても良いです。この役の内藤剛志さんがぴったりです。
私も自分に合った街を探して、その街にどっぷり浸かりながら暮らしてみた
くなりました。
ぜひ、この週末はこの作品をご覧ください。この作品は美味しいブレンドコ
ーヒーが似合います。熱い一杯を、香りを楽しみながら、ゆったりとご覧くだ
さいね。
ポイント
笑える度 :★★
ファイト度:☆☆☆☆
ほのぼの度:★★★★
スッキリ度:☆☆☆
感動度 :★★★


