作品名
「別離」 ‘11年度作品
監督
アスガー・ファルハディ
出演
- レイラ・ハタミ
- ベイマン・モアディ
あらすじ
イランのある街で、妻シミン(レイラ・ハタミ)は夫ナデル(ベイマン・
モアディ)と別れる決意をした。その理由は子供へのより良い教育のため国
外へ移住することを提案したが、夫ナデルは頑として反対したからである。
夫ナデルにも理由があった。それは痴呆症の父親の面倒をみる必要があっ
たからだ。
離婚調停に入り、妻シミンとは別居になった。それで仕事のための外出中
でも父親の面倒を見てくれる人を探した。
知り合いの紹介で家政婦が来てくれた。でも父親の介護は、ナデルも気づ
かなかったほど大変な状況になっていた。さらに女性が男性を介護するには、
宗教的な制約があった。
そして事件が発生した。誰もが望んでいない状況へと事態は進んでいく。
お勧めポイント
誰も悪くない。登場人物に本当の悪人はいない。でも自分や家族を守るため
にした、ちょっとした言動が、誰も望まない最悪の結末へ導いていった。もう
後戻りはできない。
とても悲しい話です。まず書いておきます。この作品をご紹介するのは、こ
のメルマガにはどうだろうかと悩みました。でも誰もが直面する可能性がある、
日常に潜む惨劇であり、避けて通ってはいけない作品だと思います。だからこ
の作品を観てください。ただ一つ、“元気な時に”ご覧くださいね。
宗教的な問題で私たちにはピンとこない部分もありますが、やりとりを聞い
ているうちに、およその内容は理解できます。
一人一人の言葉やその背景を噛みしめながらご覧になってください。何気な
い言動が、あとで大きな分岐点になります。黙っていたら良かったのではと思
う内容も、当事者は良心の呵責、あるいは信仰心から本当のことを口にしてし
まいます。観終わった後も各人の言動を確認しながら、もう一度、観てしまい
ました。「なぜ、こうなってしまったのだろう?何か策があったのではない
か?」と解決策を探してしまいます。
この作品で一番印象に残ったシーンは、物語終盤に見せる家政婦の幼い子供
の表情です。とてもかわいらしい笑顔を見せていたのに、その子供があんな表
情を見せるのはショッキングでした。未だに脳裏に焼き付いています。このシ
ーン、注意するとカットが入っています。監督が納得するまで何度も撮り直し
たのだと思います。
「別離」という作品名は何本かあります。この作品はイラン映画で、2012
年に日本公開されたものです。2013年2月21日現在では準新作だと思います。
間違わないでくださいね。
ベルリン国際映画賞の金熊賞からアカデミー外国語映画賞受賞まで、世界中
の映画賞を総なめした作品です。
ポイント
笑える度 :★
ファイト度:☆
ほのぼの度:★
スッキリ度:☆
感動度 :★★★★★


