配信

No.473 エンド・オブ・ザ・ワールド

作品名

「エンド・オブ・ザ・ワールド」 ‘12年度作品

監督

ローリーン・スカファリア

出演

  • スティーヴ・カレル
  • キーラ・ナイトレイ

あらすじ

 これはSFでもパニックでもホラー作品でもありません。
 人間愛の心温まる物語です。
 
 小惑星が地球に衝突する日まで21日と迫った。最後の期待であったスペ
ースシャトル作戦は失敗に終わり、人類滅亡はほぼ確実となった。
 
 ドッジ(スティーヴ・カレル)は保険会社に勤める真面目な男だ。だが彼
の妻は人類滅亡が決定的になった途端、姿をけした。信頼した妻に逃げられ
たドッジは、友人の薦めも断り、独りその日を迎える決意をした。
 
 残り14日となった時、ドッジの家の前で泣いている女性に気づいた。彼
女の名はペニー(キーラ・ナイトレイ)といい、彼氏と暮らしているが、両
親のいるイギリスへ帰る飛行機に乗り遅れてしまったのだった。
 
 ドッジはペニーを慰めた。ペニーは過眠症であり、一度眠りにつくと鼻を
つまんでも起きない体質だった。それが災いして乗り遅れたのだった。
 
 ペニーはドッジに数枚の手紙を持ってきた。それは3年間にペニーの家に
間違って届いたドッジ宛ての手紙の束だった。面識もほとんどない人宛ての
手紙は、捨て置かれていたのだった。
 
 大した手紙はないと思っていたドッジは、高校時代から10年近く付き合っ
たオリビアからの手紙に愕然とした。オリビアは優柔不断なドッジに愛想を
つかして他の男と結婚したのだが、人類滅亡の時を迎えて、自分が本当に愛
したドッジにその想いを書いていた。
 
 差し出されたのは3か月前で、電話も機能しない今となっては、簡単には
連絡は出来ない。そのままにするしかないと思われた矢先、家の近くで暴動
が起こり、身の危険を感じたドッジはペニーを連れて車に乗りこんだ。
 
 ドッジから事情を聞いたペニーは、彼女に会いに行くことを薦めた。ドッ
ジの方は、ペニーを両親の元に送り届けるため、自家用機をもっている人の
所へ行こうと考えた。いずれも彼が育った町だったため、その方向へ車を走
らせた。
 
 

お勧めポイント

 冒頭でもご紹介しましたが、後半は涙溢れる人間ドラマです。
 
 題名から考えると、恐怖に慄く人々のパニック作品のように思えます。とこ
ろが前半こそ暴動する人々が登場しますが、中盤からはこれが世紀末を迎えた
人々かと思えるほど、ゆっくりとした穏やかな流れを感じます。絶望した人々
がアルコールやドラッグなどの快楽に浸かる姿を多く見るからでしょうか。
 
 二人が車で旅する中、前方に突如現れる行列に突っ込むシーンからは、心が
温まってきます。何とも心温まるシーンが登場します。そしてラスト近くでは
涙が溢れてきます。
 
 この作品、題名で損をしている気がします。でも他にどのような題名がと考
えると、やっぱりこれが一番相応しく思います。原題は“SEEKING A FRIEND FOR
THE END OF THE WORLD”ですから、ほぼ原題どおりです。でも「世紀末に友人
を探して」というように「友人を探して」を入れると、少しは印象も変わるよ
うに思えます。
 
 この主人公はとても優しい性格なのが随所で判ります。部屋で怪しげな虫を
発見するのですが、ここまで生きているのを忍びないと放置します。でも寝て
いる間に頬を噛まれてしまいます。また、公園で寝ている間に、誰かに自分の
飼い犬を押し付けられます。その犬を何もなかったかのように飼いはじめます。
元の飼い主からのメモに「ソーリー(ごめんね)」とあったので、その犬の名
前を「ソーリー」にするのも笑ってしまいます。
 
 主人公と共に旅するペニーは、一見、柔な女性に見えますが、彼女の元彼が
言うように芯の強い女性だと、物語が進むうちに判ってきます。
 
 さて、このような状況になった時、あなたはどのように過ごしますでしょう
か?今考えても、その時に直面したら変わるかもしれません。でもこの作品の
ように穏やかに過ごしてみたいものです。
 
 この作品を借りられる人への注意事項です。
 まず同じような題名のSF作品も存在しますから注意してください。ジャケ
ットにドッジとペニーが写っていて、赤色が目を惹く、凡そSF作品らしから
ぬのが本作です。
 どうぞ心温まる本作をゆっくりと楽しんでください。

ポイント

笑える度 :★★★
ファイト度:☆☆☆☆
ほのぼの度:★★★★
スッキリ度:☆☆☆
感動度  :★★★★