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No.474 花のあと

作品名

「花のあと」 ‘09年度作品

監督

中西 健二

出演

  • 北川 景子
  • 甲本 雅裕
  • 宮尾 俊太郎

あらすじ

 江戸時代、ある藩で武芸に秀でた女がいた。名を以登(いと;北川 景子)
といい、組頭の娘であった。
 
 ある日、藩一番の剣士である江口孫四朗(宮尾 俊太郎)と手合わせをす
ることになった。初めての試合であったが、孫四朗の剣捌きの見事さ、以登
を女子だからと手加減しない真摯な態度に、以登は一目で好きになってしま
った。
 
 だが孫四朗にも以登にも婚約者がいた。それ以前に下級武士の三男を組頭
の婿に考えるはずもなく、以登は父親の言われるまま片桐才助(甲本 雅裕)
と結婚することを承諾していた。
 
 片桐才助は頭がキレ、江戸で学問に励んでいたが、いよいよ戻ってくるこ
とになった。片桐は以登の父親と馬が合うらしく、いつも親しげに話してい
た。だがおよそ武士らしからぬ飄々とした振る舞いに、以登は幻滅していた。
 
 江口孫四朗が江戸でのお役目に失敗し切腹した。しかし用意周到な孫四朗
が、いくら不慣れなお役にしろ、それほどの大失敗をするはずがないと以登
は考えた。それに孫四朗の婚約者が逢引しているのを以登は目撃していた。
何か裏があるのを感じた以登は、失敗の真相を片桐に尋ねた。
 
 

お勧めポイント

 一度会っただけで全てが分かり合える運命の出会いがあります。
 
 藤沢周平原作の時代劇です。「蝉しぐれ」「武士の一分」「山桜」「必死剣 
鳥刺し」「小川の辺」など数多くの作品が映画化されました。この作品も人間
ドラマの時代劇です。
 
 まず主演の北川景子さんの凛とした表情が武士の娘らしさを際立たせてい
ます。相当練習されたのでしょう剣捌きも見事なものです。落ち着いた話し方
も役柄にぴったりです。
 
 藤沢作品や黒澤作品にはトボけた武士がよく登場します。本作でも主人公の
婿役として登場する甲本雅裕さんが良い味を出されています。飄々としただけ
の武士かと思いきや、キレ者と言われるだけであって、「昼行燈」を演じてい
るだけの凄い人です。その凄さは主人公もやがて気付きます。父親と馬が合う
だけでなく、父親の分身のように、父親が見込んだ人物です。
 
 藤沢作品に合うのが、日本の自然です。雪山やせせらぎ、ゆったりとした時
の流れを味わえるのも本作の魅力の一つです。
 
 ラストの果し合いには息を呑んで観てしまいます。切り下すのではなく突き
を多用した剣法は実践的です。この果し合いの実況解説をやりたいです。
 
 エンドロールと言えば、出演者やスタッフ、関係者などの名前が列挙され、
BGMが流れるのがよくある作風です。でもこの作品はBGMが流れる中、ま
ず主人公たちをカメラが追いかけて、まだまだ物語は続くと思わせた後に、エ
ンドロールへと導かれるという演出がとられています。名実ともに夫婦に成っ
た二人をいつまでも祝福したい気分にさせてくれます。
 

ポイント

笑える度 :★★★
ファイト度:☆☆☆☆
ほのぼの度:★★★★★
スッキリ度:☆☆☆☆☆
感動度  :★★★★