No.582 戦場のメリークリスマス｜メンタルシネマクラブ

作品名

「戦場のメリークリスマス」　‘83年度作品

監督

大島　渚

出演

デヴィッド・ボウイ
坂本　龍一
ビートたけし

あらすじ

　1942年、ジャワにおける日本軍捕虜収容所では悲惨な生活が続いていた。
ハラ軍曹（ビートたけし）は規律厳しく捕虜を取り締まっていた。捕虜側の
幹部はローレンスだった。ハラ軍曹は事ある毎にローレンスを呼びつけた。
ハラ軍曹の上官はヨノイ大尉（坂本　龍一）で分別のある男だった。
　
　ある日、イギリスのセリアズ少佐（デヴィッド・ボウイ）が裁判に掛けら
れた。その裁判にヨノイ大尉も参加していた。裁判でセリアズ少佐は処刑と
決まったが、なぜか助命されヨノイ大尉の捕虜収容所に収容されることにな
った。
　
　セリアズ少佐が来てからヨノイ大尉の態度に変化が見られた。セリアズ少
佐のことを何かと気にかけていた。
　
　捕虜とそれを取り仕切る軍隊では何かと事件が発生する。ローレンスとヨ
ノイ大尉の対立は深まる一方だったが、さらにセリアズ少佐も対立に加わる
ようになった。
　
　

お勧めポイント

　メリークリスマス、ミスターロレンス
　
　たけしが叫ぶこの言葉が何年経っても脳裏を駆け巡る一作です。いくつか
のシーンはさきほど観たかのように鮮明に記憶しています。
　
　内容は異色の展開、そしてこの当時としては奇抜な出演者が揃っています
。今ではビートたけしさんは、たくさんの作品に出演されていますし、自ら
監督も手掛けられています。でもこの当時は役者として活躍し始めた頃でし
た。
　
　坂本龍一さんは役者デビューといえる作品です。本作では味わい深いメイ
クで登場されています。本職の音楽家として名曲「戦場のメリークリスマス
」も手掛けました。この曲は何度聞いても物悲しく、そしてショッキングな
イントロとのギャップに初めて聞いた時から気に入ってしまいました。本作
後の「ラストエンペラー」「王立宇宙軍　オネアミスの翼」と映画音楽が続
きます。
　
　そしてビッグスター・デビィッド・ボウイさんの出演も話題になりました
。撮影秘話としてビートたけしさんが「俺たちと遊びたがっていたが、マネ
ージャーたちに止められていた」と話されたのも印象に残っています。ビッ
グスターになると何かと不便になるものですね（苦笑）
　
　さて物語ですが、それぞれの人間には後悔しきれない過去があります。そ
の後悔にずっと悩まされながらも儚く生きていくことを運命づけられている
のでしょう。でも同じような場面に遭遇した時、それまでの苦悩が今度こそ
思うがままに立ち向かう勇気に与えてくれるのでしょう。
　
　デビィッド・ボウイさんですが、数日前にその訃報を聞き、この作品が真
っ先に浮かんできました。本作が来週TV放映されます。まだ見られていない
人、一度見たけれどもう一度見てみたい人、何度も観てるけどさらに観たい
人、ぜひこの機会にご覧ください。