No.593 ブーリン家の姉妹｜メンタルシネマクラブ

作品名

「ブーリン家の姉妹」　‘08年度作品

監督

ジェスティン・チャドウィック

出演

ナタリー・ポートマン
スカーレット・ヨハンソン

あらすじ

　16世紀イングランドにおいて、国王ヘンリー8世に子供はいなかった。ようやく王妃との間に生まれたのは女の子だった。もう王妃の体では出産は望めないとあって、王室は世継ぎを危惧し始めた。
　
　その話を聞きつけたブーリン家の人々は一案を計った。娘のアン（ナタリー・ポートマン）をヘンリー王に近づけて王の妾にしようと企んだのだ。アンも正妻には成れないと判っていたが、世継ぎを産むことは自分の地位を高めると目論んだ。出来れば王妃にさえ成ることを望んでいた。同時にブーリン家も王室の仲間入りが出来ると考えていた。
　
　だがヘンリー王の目を惹いたのは、アンの妹で新婚のメアリー（スカーレット・ヨハンソン）の方であった。
　
　とくにメアリーから気を惹くような行動をしたのではないが、プライド高い姉アンとは違って、純朴なメアリーの気質を、王はひと目で見抜いていた。
　
　一家全体の未来を変えると、純粋なメアリーにはそれを抗うことも出来ず、王の妾になることを承諾した。
　
　面白くないのは姉アンであった。メアリーが王を唆したのだとばかりに罵り、挙句の果てはフランスに追放されてしまった。もはや昔のように仲の良い姉妹はどこにもいなくなった。
　
　すぐにメアリーは妊娠したが、出産までの間にも他の一家が妾の座を狙っていた。このままでは一家の未来に暗雲が立ち込めるとあって、ブーリン家は急きょアンを呼び戻し、世継ぎが産まれるまでの場つなぎをさせることにした。
　
　以前のプライドは消えて改心したかに見えたアンであったが、実はその野心は消えておらず、このチャンスを逃すはずがなかった。
　

お勧めポイント

　業を逃れる術はないのか
　
　ナタリー・ポートマンとスカーレット・ヨハンソンが共演する一大歴史大作です。史実に基づいた出来事を元に描かれています。
　
　あらすじからもお分かりのように、姉アンには野望があります。自分こそが妃に相応しいと行動する様は、凄まじいとしか言いようがありません。言葉一つさえも選んで発するのです。
　
　最初は業に捕らわれた嫌な女性としか思えませんでしたが、徐々に悲しく思える性を感じてしまいます。こんな役柄の若い女性を演じさせたら、日本なら満島ひかりさん、海外ならナタリー・ポートマンさんしか思いつきません。本作と同じような女性を演じる「プライド」（以前、本メルマガでご紹介済）の満島ひかりさんを思い出します。
　
　本作は現在ネットで閲覧することができます。私の好きな二大女優が登場し、しかも興味を惹く物語であれば、見過ごす訳にはいきません。もちろんDVD化されています。
　
　本当に最後までどうなるのだろうかと息を呑んで観てしまう一作です。物語の終盤は常軌を逸した行動に、そこまでやるのかと涙さえ出てしまいます
。