作品名
「トレジャーハンター・クミコ」 ‘14年度作品
監督
デヴィッド・ゼルナー
出演
- 菊池 凛子
あらすじ
もうすぐ30歳になるクミコ(菊池 凛子)は、今の暮らしに疲れていた。会社では、いけ好かない上司からパワハラを受け、同様に母親からも結婚を即されていた。クミコを癒してくれるのはペットのウサギ『ブンゾー』だけだった。
クミコは仕事が終わると友人の誘いも断って部屋に引きこもった。することはただ一つ、あるビデオを観ることだ。何度も繰り返し見るそのビデオには、大金の在処が示されていた。正確には分からないその在処を、ひたすら研究していた。
とうとうクミコは決意した。会社名義のクレジットカードを持ってその大金が眠っているファーゴへと旅立った。しかし会社のクレジットカードはすぐに凍結されてクミコは窮地に陥った。ファーゴにあるはずの目的地は、遥か彼方であった。
お勧めポイント
菊池凛子さん主演のミステリー作品で、都市伝説になっている事件を元に描かれた物語です。
まずこの作品を観る前に、この物語に登場するビデオ作品をご覧になられた方が良いです。そのビデオ(DVDになっています)は『ファーゴ』というコーエン兄弟の作品です。この『ファーゴ』は”実話に基づく”と冒頭にテロップがあるのですが、それを真に受けたのがクミコでした。実話だから『ファーゴ』に隠された大金は実在すると信じ込んでしまいます。そしてその場所にまだ有ると思っています。
『ファーゴ』は、ちょっとした行き違いから多くの人が死んでしまうお話ですが、コーエン兄弟らしく、ユーモアに溢れた警察署長が大活躍します。その署長(女性)の呟くセリフに、人生の教訓も感じてしまいました。すごい凄惨な話なのですが、そう感じさせないのが、この署長の言動だと思います。なんとも言えない笑顔が『ファーゴ』で描かれている世界をメルヘンにしています。そのメルヘンに引き込まれたのはクミコも同じです。
旅の途中から『八甲田山』を連想して悪寒が全身を走ります。このファーゴという土地はアメリカのノース・ダコタにあり、極寒の場所のようです。
物語の途中で何度か音楽が大きくなるシーンがあります。ヒッチコック監督の作品のように、高まる音楽に何かが起こるのだと、観ている人の心臓もバクバク鳴るような気分になります。
面白いのは、摩耗したビデオテープがとうとうデッキに絡まってしまい、それをトイレに流すのですが、驚くほど簡単に流れてしまいます。クミコがそのテープを必死に再生した苦労など、何も知らないよと言いたげです。さらにDVDを手に入れたらチャプタなどDVDの便利さにクミコの研究も過熱します。
主演の菊池凛子さんは、クミコのような女性を演じたら、もの凄い迫力があります。何かに憑りつかれたような女性を、そしてクミコは英語はほとんど話せないのですが、その分、表情で語りかけるシーンは説得力があります。
『ファーゴ』と『トレジャーハンター・クミコ』の二本立てで、ぜひご覧ください。あと特典で付いているはずの『ブンゾー』オーディションもご覧ください(笑)
ポイント
笑える度 ★★
ファイト度 ☆☆☆
ほのぼの度 ★★
スッキリ度 ☆
感動度 ★★


