配信

No. 683 チルソクの夏

作品名

「チルソクの夏」 ‘04年度作品

監督

佐々部 清

出演

  • 水谷 妃里

あらすじ

 1977年の夏、姉妹都市である下関と韓国釜山の釜関親善陸上大会が例年どおり、開催された。
 
 長府高校の郁子(水谷妃里)は、同じ陸上部の仲間たちと今回の会場である釜山へ乗り込んだ。そこで郁子は同じ高跳び選手である安大豪と知り合った。
 
 どちらかと言えば安大豪の一目惚れだ。安大豪は郁子の宿泊地へ突如押しかけて来たのだ。戒厳令が出ていた韓国では、夜の外出は禁止されていた。それにも関わらず大胆な行動に出た安に、奥手な郁子も連絡先を交換してしまった。
 
 来年の大会で再会しようと誓った二人だった。大会は夏に行われる。郁子は1年に1度、7月7日の夜に会う七夕を思い出した。それは韓国にもあるらしく”チルソク”と言うらしい。
 

お勧めポイント

 日韓の高校生の切ないラブロマンスを綴った作品です。
 
 恋の始まりを告げるシーンは、まるでロミオとジュリエットです。木によじ登って話し掛ける安くんとベランダから身を乗り出す郁子の姿は、そのものにしか見えません。
 
 でもこの物語自体がロミオとジュリエットの境遇と同じです。喧嘩ばかりしている両家の代わりが、韓国と日本という国家間の関係です。お互いの両親や周囲の人々は二人が文通していることを良く思いません。
 
 男と女の仲を深める手段は、携帯やメールがない頃ですから手紙しかありません。手紙はどうしても本人以外が目に付く機会が多いものです。二人をそっと見守るのはとても難しい時代です。
 
 郁子の父親は盛り場で流しの商売をしています。ちょうどこの当時、流しからカラオケへと変わろうとしていました。色々なことが新しい時代へ突入しようとしている時でした。2022年の今は、そして2050年はどんな時代でしょうか?
 
 イルカの「なごり雪」が登場します。この歌で今置かれている状況を郁子に伝える安くんの歌には涙が出ます。また、イルカさん自身も一番は韓国語で、二番は日本語で歌うのも新鮮でした。イルカさん本人も学校の先生役で登場します。
 
 郁子の友人役で登場する上野樹里さんは初々しいです。知らなかったら気付いていなかったです。
 
 さて郁子と安くんの関係はどうなるのでしょうか?ラストがまた泣けます。

ポイント

笑える度   ★★★
ファイト度  ☆☆☆
ほのぼの度  ★★★
スッキリ度  ☆☆☆
感動度    ★★★