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No.532 初恋の想い出

作品名

「初恋の想い出」 ‘05年度作品

監督

フォ・ジェンチイ

出演

  • ヴィッキー・チャオ
  • ルー・イー

あらすじ

 チー・ラン(ヴィッキー・チャオ)とホウ・ジア(ルー・イー)は幼馴染
だ。幼稚園から高校までずっと同じ官舎で過ごした。だからいつも一緒にい
た。それが普通のことだから特に違和感はなかった。でも二人は徐々に異性
として意識する年齢になってきた。
 
 秀才のホウはエリート大学に合格し官舎を出ることになった。
 大学合格が決まった時、ホウの母親はチーと付き合わないようにホウに命
じた。なんでもホウの父親が自殺したのはチーの父親のせいだということだ
った。その日から二人の関係はギクシャクし、距離をおくようになった。
 
 チーは自分の父親にそのことを尋ねたが、無関係だと突き放された。ホウ
も同じように詳しい話は母親から聞けなかった。ただ付き合うなとだけ言わ
れた。
 
 ある夜、チーは「ロミオとジュリエット」を読んだ。題名ぐらいは知って
いたが、じっくりと読んでみると、これは自分たちのように思えた。
 
 「ロミオとジュリエット」を読み終えるとホウに会いたい気持ちで一杯に
なった。本を持ってホウの大学へ出かけて行った。二人はすぐに昔の関係に
戻れたが、互いの家は二人の付き合いを認めなかった。
 
 

お勧めポイント

 中国現代版「ロミオとジュリエット」
 
 幼馴染で物心がついたときから一緒に過ごしてきて、当然のように将来も
一緒に生きていくことを意識し始めた時、知らされていなかった家の事情で
引き離される二人を描いたラブストーリーです。
 
 お互いの父親にどういう経緯があったのか、その真相はなかなか明かされ
ません。観ている人も何が合ったのか実態が判らないのでイライラします。
主人公たちと同じように何があったのか、それを聞かないことには諦められ
るはずもないと思いました。
 
 ホウの母親は、自分を選ぶかチーを選ぶか決めなさいと言います。もしチ
ーを選ぶなら自分は父親の元にいく(つまり死ぬ)とさえ言います。10代の
若者にこの選択は本当に辛いとしか言い様がありません。
 
 二人が結ばれるシーンは初々しさが画面一杯に膨らんで、「ロミオとジュリ
エット」の同シーンを思い出します。作品内でもチラっと登場しますが、「ロ
ミオとジュリエット」はオリビア・ハッセーさんの主演作品です。
 
 「ロミオとジュリエット」では死を選びまずが、本作で次のような問いか
けがあります。
 「命を捨てること、希望を捨てること、どちらが悲劇か?」
 どちらも虚しい選択です。本作の後半は虚しく生きていくチーの姿に何度
か涙が出てきます。
 
 “あやとり”は日本の文化かと思っていましたが、主人公たちが輪ゴムを
“あやとり”のように遊ぶ姿が登場します。またジャンケンに勝った人が階
段を上っていく遊びも日本と同じだと驚きました。
 
 フェンス越しに物言わぬ二人のシーンが好きです。目でお互いに語り掛け
る姿が堪らなく哀愁を感じます。同じようなシーンがショーウィンドウ越し
にもあります。胸がキュンとしてしまいます。
 
 突如ふたりがキスしたように見えるシーンにドキっとしました。「まだそん
な展開になっていないのに?」と思わせて、そのカラクリが判ったときは笑
ってしまいました。こういうカラクリも使えますね(笑)
 
 主人公のヴィッキー・チャオさんは、「レッドクリフ」、「少林サッカー」、
「ムーラン」や本木雅弘さんと共演した「夜の上海」などCMにも出ていたこ
とがある人ですから、顔をみれば見覚えがあると思います。私が好きなのは
「緑茶」という“茶の華”で占う物語です。本作でもキュートな魅力ある女
性を演じています。
 
 さてラストはどうなるでしょうか?きっと泣くと思います。
 秋の夜長はぜひこの作品を楽しんでください。

ポイント

笑える度 :★★
ファイト度:☆☆
ほのぼの度:★★★
スッキリ度:☆☆
感動度  :★★★