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No.534 ウォルト・ディズニーの約束

作品名

「ウォルト・ディズニーの約束」 ‘13年度作品

監督

ジョン・リー・ハンコック

出演

  • エマ・トンプソン
  • トム・ハンクス

あらすじ

 1961年、P.L.トラヴァース(エマ・トンプソン)はロンドンからハリウッ
ドに出かける決意をした。
 
 トラヴァースは「メリー・ポピンズ」の原作者だ。この作品の映画化をウ
ォルト・ディズニー(トム・ハンクス)は申し出ていた。だがトラヴァース
はウンと言わないまま、20年の月日が過ぎていた。
 
 トラヴァースは頑固者で生活のあらゆることに注文をつけた。注文という
よりもイチャモンと呼べるものだった。そのトラヴァースが自分の名作を簡
単に許可するはずがなかった。変わり者が総じて新作を書くこともせず、と
うとう資産が底をついた。それで仕方なく映画化の話に耳を傾ける気になっ
た。
 
 気に要らなければサインをしなければいいと言うエージェントに後押しさ
れて、トラヴァースはハリウッドにたどり着いた。待ち構えていたディズニ
ーは何とか許可をもらおうと色々な手を使うが、トラヴァースの心は硬化し
たままだった。それどころかトラヴァースを怒らせてしまい、いきなりロン
ドンに帰らせてしまった。
 
 驚いたディズニーはすべての予定をキャンセルしてトラヴァースを追いか
けた。
 
 

お勧めポイント

 どの作品にも製作の苦労がある
 
 「メリー・ポピンズ」というディズニー映画をご存じでしょうか?当クラ
ブでもずっと前ですがご紹介しました。この作品の撮影秘話を描いたのが本
作です。
 
 どの作品にも苦労話はありますが、「メリー・ポピンズ」の映画化を原作者
が承認するのに20年費やしたということです。物語が進んでいくと頑固者だ
と思われたトラヴァース夫人の生い立ちが明らかになっていきます。その事
情にも同情します。それ以上に、20年も根気強く食い下がったディズニーに
も頭が下がります。娘さんとの約束、それがディズニーの心折れることなく
突き進めた原動力だったのです。
 
 映画化するに当たって、トラヴァース夫人は次の要求を出します。アニメ
ーションはだめ、脚本はトラヴァース夫人の言うとおりにする。
 
 ミュージカルにも何癖をつけたトラヴァース夫人ですが、楽しく唄うスタ
ッフたちに引き込まれて一緒に踊り出すシーンは最高です。「メリー・ポピン
ズ」の1シーンを観ているようです。思わず笑顔がこぼれて手拍子をしたく
なります。トラヴァース夫人もミュージカルを承認します。
 
 名優、エマ・トンプソンとトム・ハンクスが本音で語り合うシーンはさす
がに見応えがあります。お互いの生い立ちには共通するものがあるのを知る
のです。
 
 「メリー・ポピンズ」ってどんな話だったでしょうか?「チムチムチェリ
ー」という哀愁漂う曲はずっと耳に残っていますが、物語はよく覚えていま
せん。この作品を観た後は、もういちど「メリー・ポピンズ」も観てみたい
です。
 
 エンドロールで、当時のやりとりを録音した内容が再生されます。声色と
内容からトラヴァース夫人の実像が鮮明になります。きっと作品で受けた印
象に確信をもてると思います。
 
 “ダイアン・ディズニー・ミラーに捧げる”と最後に紹介されるのです
が、この人こそウォルト・ディズニーの娘さんで「メリー・ポピンズ」をこ
よなく愛した人でした。
 
 秋の夜長はぜひこの作品を楽しんでください。

ポイント

笑える度 :★★★
ファイト度:☆☆☆☆
ほのぼの度:★★★★
スッキリ度:☆☆☆
感動度  :★★★