配信

No.525 ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

作品名

「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」 ‘11年度作品

監督

スティーヴン・ダルドリー

出演

  • トーマス・ホーン
  • トム・ハンクス
  • サンドラ・ブロック

あらすじ

 9.11アメリカ同時テロで父親(トム・ハンクス)を失った少年オスカー
(トーマス・ホーン)は、母親(サンドラ・ブロック)共々傷ついたまま静
かに暮らしていた。
 
 事故から1年が過ぎた頃、オスカーは手付かずであった父親の荷物からメ
モと古い鍵を見つけた。オスカーは何でも調査する習慣があった。それは自
閉症の傾向がみられるオスカーを、少しでも治すために父親が仕向けたもの
だった。
 
 見つけたメモには“探すのがやめない”と書かれてあった。これは父親か
らの最後の調査課題だと思ったオスカーは、その鍵を調べることにした。父
親からの課題は必ず“旅すること”、“周到に準備された課題”が当てはまっ
た。だからこの課題も必ず答えが存在するとオスカーは確信した。
 
 鍵は20~30年前のもので、貸金庫などの鍵付き箱用と判った。だがどこの
鍵であるかは、片っ端から開けてみるしかないらしい。
 
 鍵が入っていた封筒には“Black”と書かれていた。これが何を意味するの
か、ここから調べることにした。
 
 おそらくこれは人の名前だと判った。
 
 

お勧めポイント

 何も結果が出ないより、がっかりする方がいい
 
 9.11で父親を亡くした少年とその母親の話です。少年が見つけた鍵には父
親からのメッセージがあると信じた少年は、必死にその鍵を調査していきま
す。そして少年はその途中で知り合った人々から多くのことを学んでいきま
す。
 
 傷ついた人がどれぐらい傷ついているのかは、本人でないと想像も及びま
せん。この主人公がパニックを起こす事象の数は驚くほど多いです。こんな
ことまでトラウマになっているのかと改めて知りました。だから人からは簡
単に思えることも、本人は大きな勇気を振り絞っているのが判ります。
 
 主人公は“Black”という人を探して多くの人と会います。出会う人々にも
色んな苦悩があります。みんなその苦労を他に見せないように生きているの
だと判ります。少年と友達になって一緒に探してくれる老人がいます。この
老人も屈託のないユーモアを見せてくれますが、この人も悩んでいたので
す。
 
 主人公以上に傷ついて塞ぎ込んでいると思われた母親が、実は我が子を思
う行動をしていたと知った時は涙が止まりません。
 
 少年が成長していく過程が始まりの頃と比べるとよく判ります。引き籠り
状態から他人を思いやれる人へと成長していきます。悩み(秘密)を誰かに
打ち明けられるのは大きな一歩なのですね。
 
 飛び出す絵本のような行動記録は見ている人を元気にしてくれます。これ
を見せられた母親が元気を出さないはずがありません。
 
 タイトルとジャケット写真で私は長いこと勘違いしていた気がします。ト
ム・ハンクス出演作品でそんなに悪い物語はありませんよね。
 出てくる人が少しずつ元気になっていく姿に自分も元気をもらえました。
 本作はテレビ放映されます。
 今週はこの作品をゆっくりと楽しんでください。

ポイント

笑える度 :★
ファイト度:☆☆☆
ほのぼの度:★★
スッキリ度:☆
感動度  :★★★