作品名
「オルカ」 ‘77年度作品
監督
マイケル・アンダーソン
出演
- リチャード・ハリス
- シャーロット・ランプリング
あらすじ
漁師のノーラン(リチャード・ハリス)は水族館からシャチの生け捕りを
請け負った。シャチの生態を全く知らないノーランは、大学教授レイチェル
(シャーロット・ランプリング)の講義も受けシャチについて勉強した。
レイチェルはシャチの捕獲に反対した。シャチはクジラ科に属する哺乳類
最強の生き物だ。そしてシャチの知性、執念深さは人間の想像をはるかに超
えるというのがその理由だった。シャチは古代ローマでは『死を招く者』と
いう意味で『オルカ』と呼ばれていた。
レイチェルの警告も聞かず、ノーランはシャチの捕獲に出かけた。だが捕
獲しようとして誤ってシャチを傷つけてしまった。そのシャチはメスで子供
を宿していた。シャチは傷が元で死んでしまったが、その一部始終をオスの
シャチは見ていた。その加害者がノーランたちであることもしっかり記憶し
た。
怒ったシャチの攻撃で船は大破した。どうにか近くの港にたどり着いたノ
ーランたちを地元民は温かく迎え入れてくれた。だが翌朝には彼らの態度が
豹変した。ノーランたちがシャチを殺したことを知ったからだ。シャチの怖
さは地元民が一番知っていた。
なかなか出港しないノーランたちにシャチの嫌がらせが始まった。地元民
も海以外からノーランたちが立ち退くのを妨害した。ノーランたちは海から
逃げるしかなかった。だが逃げるのではなくオルカと対決するつもりだっ
た。
沖に出たノーランをオルカは誘導した。
お勧めポイント
他の生き物とも、もっとコミュニケーションがとれれば。
シャチの復讐を描いた海洋サスペンスです。
この作品を観て一番に思い出したのが『白鯨』です。『白鯨』でもモビィ・
ディックと呼ばれるクジラと捕鯨船の戦いが描かれています。その中ではク
ジラの小さな目が冷酷さを連想するには十分でした。本作でもオルカの目が
アップで映るシーンが何度かあります。こちらは充血した復讐しか考えてい
ない目に思えます。また甲高い鳴き声は耳を塞ぎたくなるほどゾっとしま
す。時には悲しく、時には怒声のように聞こえます。
胎児がいるのが分かるシーンはたいへんショッキングです。
主人公は自分の過ちを反省します。
シャチは一夫一妻で生涯をともにするそうです。それだけに連れ合いを殺
された憎しみは計り知れないです。実は主人公も同じような経験をしてい
て、オルカの気持ちが痛いほど分かったのです。しかしいくら謝ろうとして
もどうやって謝罪の念をオルカに伝えれば良いのでしょうか?主人公はその
ことを嘆きます。
先ほど『白鯨』を持ち出しましたが、『老人と海』のような動物と人間の一
対一の対決が描かれていると思った方が近いです。主人公の内面の葛藤がよ
く描かれています。海で戦うことを望むオルカに、その犠牲になることも決
意して従う主人公、ラストは決戦の地に相応しい場所で戦いが開始されま
す。
主演は数多くの出演作があるリチャード・ハリスさんです。近年、『ハリー
ポッターと秘密の部屋』に出演後に亡くなられました。主人公の素朴さに魅
かれる学者にシャーロット・ランプリングさんが出ています。こちらは無表
情な鉄の女を演じさせたら定評があります。ジャン=ミシェル・ジャール
(シンセサイザー奏者)さんと結婚していたことを知り、これも驚きまし
た。
以前、本作を観たとき77年作ということもあって画面全体がうす暗く感じ
ました。ラストの対決シーンもくすぶっていました。今回デジタル・リマス
ターされ、全編を鮮明に観ることができます。
この週末はどうぞこの作品をお楽しみください。
ポイント
笑える度 :★
ファイト度:☆☆☆
ほのぼの度:★
スッキリ度:☆☆
感動度 :★★


