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No.497 うさぎドロップ

作品名

「うさぎドロップ」     ‘11年度作品

監督

SABU

出演

  • 松山 ケンイチ
  • 香里奈
  • 芦田 愛菜

あらすじ

 河地ダイキチ(松山 ケンイチ)は独身サラリーマン。祖父の葬式で、祖
父に隠し子がいた事が発覚した。母親が誰かも不明で、しかも唐突な話に、
親戚でりんちゃん(芦田 愛菜)の引き取り手がいない。厄介者扱いになっ
ているのを哀れに思い、ダイキチが面倒をみることにした。
 
 一緒に暮らし始めたが、親戚に格好付けた自分を後悔した。最初に困った
のが預かってくれる保育園を探すことだった。妹や同僚からアドバイスを得
て何とか探し出せた。
 
 保育園で知り合ったのはシングルマザーの二谷ゆかり(香里奈)だ。一目
見てダイキチは驚いた。この女性、ダイキチがよく目にする雑誌に登場する
モデルだった。子供同士が親しいこともあって、子育ての素人であるダイキ
チを何かと気に留めてくれた。
 

お勧めポイント

 子育ての大変さは、実際にやった人でないと判らない
 
 祖父のお葬式シーンから始まります。その祖父がダイキチにそっくりとい
うことで、ダイキチを見た人が皆、驚きまくるのが笑えます。それだからこ
そ、りんちゃんも親しみを感じたのでしょう。
 
 突如始まるダイキチの空想シーンがハチャメチャです。ミュージカルやら
ロマンスやら、こういう妄想(笑)を考えられる人なら苦境も乗り越えられ
るというものです。
 
 無口な女の子役の芦田愛菜ちゃんですが、その愛らしい仕草は誰をも魅了
します。こんな子なら育てたいと思う人が大半だと思います。
 
 しかし実際に育てるとなると何かと大変です。特にダイキチのような独身
男が育てるとなると、保育園の送り迎えと仕事の両立は多忙を極めます。そ
れを途中で投げ出すことなく一生懸命に面倒をみるダイキチの姿は、誰もが
勇気づけられます。私たち以上にりんちゃんがダイキチを本当の父親のよう
に懐くのは当然だと思います。
 香里奈さんのセリフに、『子供は誰が本当に面倒をみてくれるか判ってい
る』というのもうなずけます。
 
 ダイキチはりんちゃんを育てることで、自分を育ててくれた母親の苦労を
知ります。誰もがそうでしょうが、子を育てる立場になって初めて親の苦労
を知るものだと痛感しました。またダイキチは、会社の同僚で子供がいる女
性の逞しさを感じ取れるようになります。
 
 つくづく感心するのは、謙虚なダイキチの姿です。残業の多い職場では子
育ては無理と判断して、残業のない部署へ配置替えを願いでます。決してり
んちゃんを疎かにしない姿に金メダルです。
 
 さて監督はSABUさんです。この人の監督第一作『弾丸ランナー』は、私の
大好きな作品の一つです。全編走っている物語ですが、本作同様に人間の弱
さとたくましさを感じます。この監督の作品はいずれもその匂いがします。

ポイント

笑える度 :★★★★
ファイト度:☆☆☆☆
ほのぼの度:★★★★★
スッキリ度:☆☆☆
感動度  :★★★