配信

No.470 ゴーストライターホテル

作品名

「ゴーストライターホテル」 ‘11年度作品

監督

伊東 寛晃

出演

  • 阿部 力
  • 栗山 千明

あらすじ

 ホンテンドホテルは名立たる文豪達が執筆に利用した有名ホテルだ。今で
も小説家がそのパワーに肖ろうとこのホテルを訪れていた。
 
 内海文一(阿部 力)もその力に縋る思いで当ホテルを利用していた一人
だった。彼は一作として最後まで書き上げたことがなく、今は他の作家の寸
評で生計を立てていた。とうとう妻の尚子(栗山 千明)からも三行半を下
されようとしていた。
 
 内海がこのホテルで唯一得たものは、このホテルの清掃員としての仕事だ
った。同僚はロシア文学好きだったことから内海と意気投合した。
 
 内海が物書きだと知った同僚は、内海に作品を書き上げることを薦めた。
その言葉に後押しされて書き始めた内海だが、大学の同期で今は超売れっ子
作家になっている鷺宮からダメ出しを喰らい、自信は早々と喪失してしまっ
た。
 
 内海の話を聞いた同僚は、彼をある部屋に連れて行った。その部屋にはか
って執筆活動をしていた文豪たちが書き捨てた原稿を保管していた。
 
 その原稿を読んだ内海は、いずれ劣らぬ名作の原石に身震いした。さらに
同僚は、ある部屋に行けば、その文豪たちの幽霊に会えるかもしれないと教
えてくれた。
 
 

お勧めポイント

 途中で諦めてしまったことはありませんか?それはそのままで良かったの
でしょうか?
 
 夏目漱石、太宰治、森 鴎外、宮沢 賢治、林 芙美子、江戸川 乱歩と名
立たる作家が登場するコメディ作品です。
 
 文豪たちが未完成のままにしていた作品を主人公が完成させます。もちろん
主人公だけなら佳作にしか成らなかったところを、文豪たちの助言を頼りに完
成させ世の中に贈りだします。
 
 文豪たちの新作ですから、面白くないはずはありません。次々とヒット作を
書き上げますが、それが面白くないのがライバルの鷺宮です。内海とは大学の
同期ですから、何らかの裏があると睨んで内海を調べ始めます。
 
 本作にはコメディアンが多数登場しています。文豪に扮する人たちも、その
特徴をよくつかんでいます。ちょっと怪しげなキャラにされている文豪もいま
すが(笑)
 
 特別出演の栗山 千明さんが、良い味を出されています。作家の妻には悪妻
が多いと言われますが、とても面白いキャラです。旦那さんが執筆した本なの
に、それを読もうとするのは感心しますが、その本をどうやって手に入れたか、
これも時代背景を表していて笑いました。
 
 主人公が自信作の発表会で行うスピーチは感動します。前半の笑い一色から
一転して、人生の名言とも思える格言を教えてくれます。そういえば文豪たち
も主人公も、私と同じ思いを秘めていたのです。その思いは読者の方々もきっ
と持っているものだと思います。どうぞ作品を御覧になられてその言葉を味わ
ってください。
 
 暑い夏がやってきました。この作品で内からも熱い思いを燃え上がらせまし
ょう。

ポイント

笑える度 :★★★★
ファイト度:☆☆☆☆
ほのぼの度:★★★★★
スッキリ度:☆☆☆☆
感動度  :★★★