作品名
「涙そうそう」 ‘06年度作品
監督
土井 裕秦
出演
- 妻夫木 聡
- 長澤 まさみ
あらすじ
洋太郎(妻夫木 聡)とカオル(長澤 まさみ)は、二人っきりの兄弟だ。
父親は家を出てしまい、残された母親も早くに亡くなった。それで二人は、
沖縄離島にあるオバァの家で育てられた。
高校を中退して働くことにした洋太郎は、沖縄本島に移り、調理師免許を
取り、いつかは自分の店を持ちたいと料理店でバイトを始めた。
洋太郎が21歳になった時、妹カオルが沖縄本島の高校に通うことになり、
同居することが決まった。
久しぶりに見る妹は、洋太郎が思っていた以上に大人になっていた。
カオルの方は、大好きなニイニイ(兄)と一緒に暮らせることに大はしゃ
ぎで、昔と何も変わっていなかった。
洋太郎には恋人や友人もおり、二人は幸せに暮らし始めた。
ある日、洋太郎がバイトする店の常連客が、良い物件を紹介してくれるこ
とになった。
ようやく念願の店を持つことができ、これからも幸せな毎日が続くと思わ
れた。
でもその幸せは長くは続かなかった。
お勧めポイント
『一生懸命』という言葉は、この人のためにある。そう思いました。
感涙の名作です。タイトルどおり、涙なくして観られません。
母親から「妹を守ってやれ」という言葉を守り、二人っきりの妹を幸せに
することだけを考えたニイニイと、いつも守ってくれるニイニイを支える妹
の、どちらの気持ちも痛いほど良く判る物語です。
主演の妻夫木聡さん、共演の長澤まさみさん、いずれも瑞々しい姿が、今
見ると爽やかで新鮮な感じがします。
汗と日焼けした顔がエネルギッシュな若者を感じさせます。そのうえ、お
人好しな性格が、妻夫木さんという役者さんの印象を私に刻みました。
長澤さんの舌足らずの言葉が、真夏の太陽よりも明るい笑顔が、お兄さん
思いの純真な妹を伝えてくれました。
二人には大きな秘密があります。それは物語の前半で紹介されますが、そ
れがなかったら、二人はずっと幸せに暮らせていたのでしょうか。
カオルが独立して暮らすことになるシーンは泣けます。
この一家は涙を我慢する時にある仕草をします。この作品の紹介写真でも
よく使われているものです。その姿がたまりません。観ているこちらも同じ
仕草をしてしまいます。
振り返ってニイニイに挨拶をするカオルの姿は、冒頭でフェリーからニイ
ニイに手を振る姿と重なります。そこには成長したカオルが感じられます。
ラストシーンも泣けます。ニイニイは本当にカオルのことを考えていたの
が、よく判ります。そのことを知った後に流れる夏川りみさんの「涙そうそ
う」は、ずっと大泣きしました。
そして幼い二人の会話が、ちょっと微笑ませてくれました。
ポイント
笑える度 :★★★
ファイト度:☆☆☆
ほのぼの度:★★★★★
スッキリ度:☆☆
感動度 :★★★★★


