作品名
「パピヨン」 ’73年度作品
監督
フランクリン・J・シャフナー
出演
- スティーヴ・マックィーン
- ダスティン・ホフマン
あらすじ
フランス領ギアナに終身刑たちが送り込まれた。その中には、人殺しのパ
ピヨン(スティーヴ・マックィーン)や国債を偽造したドガ(ダスティン・
ホフマン)がいた。
ドガの犯罪は有名で、多額の金を隠していると噂された。囚人になった今
でも、ドガの体内には多くの紙幣が隠されていると思われた。
ドガの金を盗もうとする囚人は後を絶たなかった。刑務所では現物だけが
力をもっていた。金さえあれば、刑務官でさえ、自分の意のままに動かすこ
とが可能だ。
身の危険を感じたドガは、頑強そうなパピヨンに自分の警護を依頼した。
代わりにパピヨンが望むものを与える約束だった。
パピヨンが望んだものは、脱走に必要なものだった。パピヨンは無実だっ
たが、罠に嵌められて終身刑にされたのだ。犯人は、胸に蝶の入れ墨、つま
り、パピヨンがあった。それが彼にもあるというだけで犯人にされたのだっ
た。無実を証明するのは不可能だった。だがパピヨンは、ただ自由が欲しい
ためだけに脱走を考えていた。
脱走をしたパピヨンは、脱走の手助けをした仲間に裏切られ、独房に入れ
られた。そこは過酷な部屋である。運悪くドガからの差し入れを抑えられ、
ドガの名前を白状しなければ、さらに過酷な待遇がパピヨンを待ち受けてい
た。それは死を宣告する過酷な罰則であった。誰もがドガの名前を白状する
と思われたが、パピヨンは必死に耐えた。
お勧めポイント
人間の生への執念にも思えるたくましい姿を描いたヒューマン・ドラマです。
これは実話を元にして本人が書いた超ベストセラーの映画化です。
パピヨンの人生は牢獄と脱走の連続です。過酷な日々が彼を待ち受けていま
す。それ以上に驚くのが、パピヨンが出会う人々は、彼を助ける人、彼を騙す
人がいることです。社会的地位など関係なく騙す人は騙すし、何の見返りもな
いのに親切にしてくれる人がいます。これはパピヨンが置かれている世界が特
殊だからではなく、私たちが生きている社会でも言えることだと思います。
驚くことに、騙されたパピヨンはそれを後悔する様子もなく、次に如何するか
を考える発想です。これだけポジティブでなければ、彼の周りの人のように死
が待ち受けているのでしょう。
一番凄いのが、仲間の名前を言わなければ死ぬだろう環境でも、仲間を守る
シーンです。このシーンでのスティーヴ・マックィーンの演技も凄まじいです。
やせ細り、目だけがギョロギョロと動き、本当に骸骨のように思えます。人間
のたくましさを体当たりで表現されています。
脱走を繰り返すパピヨンに刑務官は足に傷を負わせます。その後のパピヨン
の歩き方は、足の損傷がよく判る独特のものです。この演技も素晴らしいです。
パピヨンと共に終身刑になったドガ役が、ダスティン・ホフマンです。こち
らもスティーヴ・マックィーンと同じく名優です。彼は、繊細な、ちょっと癖
のある男を演じさせたら、彼の右にでる人はいないでしょう。
パピヨンとの別れのシーン、しっかり抱き合う男同士の友情に、涙が出来ま
す。そのあと、脱走するパピヨンの姿を眺めるダスティン・ホフマンの姿も印
象に残ります。
パピヨンで有名なものに音楽があります。主題曲は誰もが一度は聞いたこと
があると思います。哀愁漂う旋律に、この曲を聴くだけで涙が出てきます。
音楽はジェリー・ゴールドスミスです。オーメンや13ウォーリアーズなど
彼が関わった作品は数多くあります。中でも私が一番好きなのは、「ルディ/
涙のウイニング・ラン」です。ルディのテーマなどは、スポーツ番組などでよ
く使われています。こちらも誰もが一度は聞いたことがある曲です。「パピヨ
ン」のテーマは、作品中にはあまり流れませんが、DVDでご覧の場合は、メ
ニュー画面で流れています。
この作品で一番胸に響いたシーンは、パピヨンの幻想世界です。無実を叫ぶ
パピヨンに神が言い放ちます。『おまえの本当の罪は、人生を無駄にした事
だ。』そういわれると、自分も有罪なのかなと思ってしまいました。
パピヨンは実話だと書きましたが、後日談があります。脱走したパピヨンは、
祖国フランスに帰ることを熱望しました。ベストセラーになったこともあり、
長い年月が過ぎたこともあり、パピヨンはフランスに戻ることが許可されまし
た。本当に良かったですね。
この映画に合う飲み物は、ずばり「水」です。ただの水でも喉の渇きを満足
するまで飲めるだけで幸せな気持ちになれることでしょう。また、腹一杯食べ
られるだけで、これ以上の至福はないとも感じます。
ポイント
笑える度 :★
ファイト度:☆☆☆☆☆
ほのぼの度:★
スッキリ度:☆☆☆
感動度 :★★★★


