配信

No.426 大いなる旅路

作品名

「大いなる旅路」 ’60年度作品

監督

関川 秀雄

出演

  • 三國 連太郎
  • 高倉 健

あらすじ

 大正時代の盛岡でのお話しです。
 盛岡で国鉄の機関士助手である岩見浩造(三國 連太郎)は、教習所の試験
に落ちて荒れていた。
 
 ひょんなことから漁師の娘と結婚したが、仕事にも身が入らず、なじみの料
理屋に入りびたりの有様だった。
 
 ある日、雪崩による列車転覆事故が発生した。その事故で先輩機関士は亡く
なってしまった。生き残った岩見は、自分の仕事は他人の命を預かる重要な仕
事だと気づき、仕事に精を出すようになった。
 
 やがて岩見は三人の息子と一人の娘を授かった。岩見は事故以来、人が変わ
ったように働き、一家は幸せの中にいた。
 
 子供たちが大きくなると、一家に変化が起こった。
 長男の忠夫は徴兵に召集され、次男の静夫(高倉 健)は岩見が合格できな
かった教習所に合格し、東京へと出て行った。三男の孝夫は予科練を志願した。
長女の咲子は悪い男に騙されて父親が止めるのも聞かずに駆け落ちした。
 
 機関車から列車へと車両が移り変わった時代、岩見夫婦も大いなる旅路をつ
き進んでいた。
 
 

お勧めポイント

 鉄道マンの生涯を描いたヒューマンドラマです。
 主演は三國連太郎さんです。その妻役には風見章子さんです。二人とも若い
時から年老いた姿までを見事に演じられています。
 若いと言えば、高倉健さんや中村嘉津雄さんなども三國連太郎さんの息子役
で若かりし姿を見ることができます。
 
 『大いなる旅路』という題名を聞くと、大昔にテレビ放映していた同名のド
ラマを思い出します。鉄道100年記念で毎週日曜日に観ていたのを覚えてい
ます。中でも大原麗子さんが登場する物語が良かったです。小椋佳さんの主題
歌(これも『大いなる旅路』)も良かったです。
 
 本作でも時代の流れと共に鉄道にまつわる色々なエピソードが紹介されま
す。時代背景には戦中、戦後が強く反映されています。強く生き抜く人々の姿
が岩見一家を通して描かれています。
 
 いつの時代も子供たちの行く末を心配するのが親です。この作品では波乱の
時代でもありますが、子供たちに幾多の試練が訪れます。良い時もあれば、悪
い時もある。それを噛みしめて耐える岩見夫婦の姿に涙が出ます。中でも追い
出した一人娘が元気に暮らしているのを知ると、彼女の家に行き、真っ先に旦
那さんの仕事場を見たいというシーンが親心をよく表しています。
 
 この作品の制作は1960年です。鉄道ファンである鉄男、鉄子には涎が出
てしまうSLがたくさん登場します。しかも実際に走っています。その中でも
雪崩による転覆事故シーンは迫力があります。FXでない本物を使ったシーン
ですから、それは必見の大スペクタルです。
 
 私は鉄男ではありません。でも小さい頃はここに出てくる機関車に乗ってい
たそうです。D51やC62など有名な機関車です。最近気になったのが、頭
の“D”、“C”ってどういう意味だろうということです。知り合いの鉄男(笑)
に聞いたところ、動輪の数で片側に3輪あるのが“C”で4輪あるのが“D”
という意味だそうです。
 
 激動の昭和を感じさせる作品です。必死に生き抜く人々の姿を、どうかこの
作品をご覧になって、じっくりと味わってください。

ポイント

笑える度 :★
ファイト度:☆☆☆☆☆
ほのぼの度:★★★★
スッキリ度:☆☆☆☆
感動度  :★★★★