配信

No.405 ヒア アフター

作品名

「ヒア アフター」 ’10年度作品

監督

クリント・イーストウッド

出演

  • マット・ディモン
  • セシル・ドゥ・フランス
  • フランキー・マクラレン

あらすじ

 フランスの一流ジャーナリストであるマリー(セシル・ドゥ・フランス)は、
旅行先で大津波にあった。九死に一生を得たマリーは、帰国後も仕事に手がつ
かないありさまだった。マリーの様子を見た彼氏でもあるディレクターは、マ
リーを第一線から遠のけた。
 
 ジョージ(マット・ディモン)は、有能な霊能者であった。相手の体に触れ
ると、その人の過ごした人生が分かる。でも相手のことが分かるということは、
その人が抱えている悲しみをも認識することであった。それが苦痛でジョージ
は霊能を辞めて工場で働くことにした。
 
 マーカス(フランキー・マクラレン)には双子の兄がいた。いつも横にいて
自分を可愛がってくれた兄は事故で死んでしまった。兄がいなくなって孤独を
感じるマーカスであった。
 
 何のつながりもない三人がめぐり逢えた。そして、新たな絆が誕生した。
 
 

お勧めポイント

 クリント・イーストウッド監督のヒューマン作品です。
 
 冒頭に大津波のシーンがあります。こんなのは映画の中でしか観ることも
ないだろうと思っていました。私がこの作品を観たのは2011年3月11日の
午前中でした。夕方、この作品と同じような映像をテレビで観ました。
 
 主人公のマリーがどのような体験をしたのか、それは本人にしか分かりま
せん。でもこんな体験をしたのかなということを、この作品を観て知ること
ができます。私が感じる何倍もの出来事であったと思います。
 
 周りの誰もがマリーのことを分かってくれません。分かってくれるのは同
じような体験をした人だけでした。でもマリーはその体験を本にまとめるこ
とにしました。
 
 他人にふれると、その人のことが分かってしまう能力は、ちょっと考える
と便利なものです。でも知らなくても良いことまで分かってしまうのは、有
難迷惑であるのを知らされました。マット・ディモン演じる霊能者が、どの
ような苦悩をもつのかは、この作品の後半で分かります。たしかにこのよう
な苦悩があれば、霊能者をやりたくないのも良くわかります。
 
 少年マーカスは、いつも頼りにしていた兄を突然亡くした悲しみから、自
閉症になります。そして兄ともう一度話したいと考えます。それを実現して
くれる霊能者を探しますが、どの霊能者もインチキなものばかりです。本物
の霊能者であるジョージとのやりとりを見れば、その違いがよくわかります。
 
 ラストシーンは感動して涙が出ます。主人公の三人は、違う国で暮らして
います。国が違えば職業も違う、年齢も違う。そんな三人がどうやって巡り
合うのかなと思って観ていました。最後の最後まで三人の人生は交わりませ
ん。でもそれぞれの立場がうまく重なり合い、とうとう巡り合います。私に
はチャップリンの「街の灯」を思い浮かべる情景と音楽でした。
 
 「誰よりも助けが必要なのは自分である。」というジョージのセリフが身に
染みました。
 
 この週末はどうぞこの作品をご覧ください。

ポイント

笑える度 :★
ファイト度:☆☆
ほのぼの度:★
スッキリ度:☆
感動度  :★★★★