配信

No.410 サンザシの樹の下で

作品名

「サンザシの樹の下で」 ’10年度作品

監督

チャン・イーモウ

出演

  • チョウ・ドンユイ
  • ショーン・ドウ

あらすじ

 1970年代初頭、中国では革命教育の一環として、都会の高校生を農村で農業
実習させる制度を強いていた。この物語はその頃にあった実話です。
 
 高校生のジンチュウ(チョウ・ドンユイ)は、西坪(シーピン)へ農業実習
にやってきた。彼女は教師を目指していて、革命教材を作ろうとしていた。
 
 西坪には抗日戦争によって亡くなった数多くの兵士を見てきたという有名
なサンザシの樹があった。サンザシの樹は普通白い花であったが、この樹では
赤い花が5月に咲くという。
 
 ジンチュウは、このサンザシの樹を題材にした資料を書こうと思った。
 
 ジンチュウが泊まることになった村長の家には、他にも居候がいた。彼はス
ン(ショーン・ドウ)と言い、村の地質調査に来ていたのだった。村長一家は
彼を家族のように思っていて、三番目の兄さんという意味で、三兄(さんにい)
さんと呼んでいた。
 
 ジンチュウの一家は中国の下層階級であったため、一家を支えるために自分
を犠牲にして働いていた。ジンチュウはスンに恋心を抱いており、スンも積極
的にジンチュウに近づいてきた。
 
 村を去る頃、スンには都会に許嫁がいることを聞かされた。
 
 

お勧めポイント

 チャン・イーモウ監督のラブロマンス作品です。
 立場が違うから許されない愛があります。家族がいるから諦めないといけな
い愛もあります。若すぎるから許されない愛もあります。
 でもずっと待っていてくれると言ってくれるのは、本当に幸せなことです。
 
 社会主義下での暮らしは本当にたいへんだと、この作品の多くのシーンで知
ることができました。
 
 「サンザシ」は「山査子」と書き、中国の古くからの花です。日本にもずっ
と昔に持ち込まれたそうです。花言葉は、「希望」「成功を待つ」、そして「た
だ一つの恋」だそうです。いずれの意味も、この作品にはぴったりです。
 
 原作はエイ・ミーさんが書かれて、中国でベストセラーになったそうです。
 
 主演のチョウ・ドンユイさんは、オーディションで選ばれたそうです。チャ
ン・イーモウ監督は、素晴らしい女優の原石を見つけるのがうまいです。
 「あの子を探して」という作品でも主演のウェイ・ミンジさんは素朴な女性
です。この作品のチョウ・ドンユイさんに本当に似ています。この作品が気に
入られた方は、「あの子を探して」もぜひご覧ください。
 
 自転車の相乗りで街を駆け抜けるシーンが、本当に楽しく青春を感じます。
 
 この作品、途中まではのどかな農村、素朴な人々、何のことはない物語に思
えましたが、最後にそれはやってきます。そのために準備してあった色々な出
来事が、これでもかと襲ってきて、涙無しには見られなくなります。そしてま
だ泣いているにも関わらず、終劇を迎えます。

ポイント

笑える度 :★
ファイト度:☆
ほのぼの度:★★★★
スッキリ度:☆
感動度  :★★★★