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No.393 武士の家計簿

作品名

「武士の家計簿」 ’10年度作品

監督

森田 芳光

出演

  • 堺 雅人
  • 仲間 由紀恵

あらすじ

 加賀藩の御算用者である猪山直之(堺 雅人)は、そろばんバカと言われ
ていた。
 そろばんを扱わせれば、藩で彼の右に出るものはいない。それどころか、
実直な性格が災いして、調べなくて良いことまで、帳簿に間違いがあると調
べ始めた。
 
 直之が調べ始めたのは、藩の上層部がお救い米を横流ししている件であっ
た。村人たちに配るお米が、どこかで消えていたのであった。
 
 
 堅物な直之に縁談がきた。縁談相手は剣術道場の娘であるお駒(仲間 由
紀恵)であった。剣術はからっきしの直之であったが、その人柄にお駒も魅
かれ、結婚することになった。
 しかしその直後、藩内の不正を調べ回った直之に上層部は地方送りを言い
渡した。
 
 時を同じくして、村人たちが米の件で一揆を起こした。事態を重く見た藩
主が調査に乗り出し、米の横流しをした首謀者たちは討ち切りにされた。さ
らに直之の調査簿が発見され、直之は異例の出世を果たした。
 
 
 猪山家は代々人柄の良い家系であるのが災いして、直之が家計簿をつけ始
めた時には莫大な借金になっていた。このままでは家の存続も危ういと考え
た直之は一計を案じ、家計を切り詰める作戦を立てた。
 ほとんどの家財は売り払い、世間体も考えず質素な生活を始めた。息子の
祝いの席でも、紙に書いた鯛で済ませるほどであった。
 
 息子に物ごころがつくと、さっそく家計の勉強を始めた。でも息子はそれ
が嫌だった。
 
 

お勧めポイント

 堺 雅人さん、仲間 由紀恵さん主演のヒューマンコメディです。
 この俳優さんたちに、森田 芳光監督とくれば、なんとも言えないほのぼの
とした作品であることは、観る前からもお判り頂けると思います。
 
 主演の二人を支える周りの人たちですが、直之の父親役に中村 雅俊さん、
母親役に松坂 慶子さん、お駒の父親役に西村 雅彦さんと、豪華なメンバー
です。
 特に母親役の松坂 慶子さんが大切な着物を手放したくないと駄々をこね
ると、父親役の中村 雅俊さんがうまく説得するシーンや、父親のお決まりの
自慢話が始まると、草笛 光子さん演じるおばばさまが、それを遮るやりとり
など、とても面白いです。
 
 物語の後半には、成長した息子が年老いた直之をおぶって散歩に出かけます。
そこで交わされる内容に、父親から観た息子、息子から観た父親、微妙な違い
が良く判ります。私も小さい頃に思っていた親の存在が、大きくなってから見
つめなおすと、勘違いしていた点がありました。
 
 さて、物語には鶴亀算なども出てきて、観終わった後に思わず計算してしま
いました(笑)。
 
 今まで侍物の映画といえば、武士道を描いたものが多かったですが、この作
品や「さや侍」など、ちょっと変わったものも見受けられるようになりました。
松田 優作さんが主演されていた「ひとごろし」なども変わってました。
 
 この作品に登場する猪山直之さんたちは実在の人物で、その家計簿は現存し
ているということです。
 
 武士の命は刀か、それとも...
 
 この作品は、ひと肌の日本酒を、おちょこでじっくりと味わいたいものです。
酒の魚は、やっぱり倹約志向のメザシが良いですね(笑)。

ポイント

笑える度 :★★★
ファイト度:☆☆☆☆
ほのぼの度:★★★★
スッキリ度:☆☆☆
感動度  :★★