配信

No.349 椿三十郎

作品名

「椿三十郎」 ’62年度作品

監督

黒澤 明

出演

  • 三船 敏郎
  • 仲代 達矢

あらすじ

 社殿に隠れて相談をしていた若い藩士たちのところに、奥で寝ていた浪人
が口をはさんできた。その浪人(三船 敏郎)が言うには、悪人は藩士たち
をかばい、後ろ盾になろうとしている奴のほうだ。そいつの方が危ない、危
ない。

 その言葉を裏付けるかのように、たくさんの侍が社殿を取り囲んだ。なん
とか浪人の機転で、その場を切り抜けた藩士たちだが、このままでは城代家
老の身も危ないと感じた浪人は、9人の藩士たちと行動を共にすることにし
た。

 さっそく浪人は、社殿で相対した侍、室戸半兵衛(仲代 達矢)のところ
へ単身、様子を探りに出掛けた。

 ぶっきらぼうだが、人の良い浪人は、名を聞かれると、椿の花を見ながら、
「椿 三十郎。もうすぐ四十ですが。」と答えた。

 9人の若い藩士と椿三十郎とで、藩に潜んだ悪人たちを一掃することが出
来るのであろうか。

お勧めポイント

 黒澤監督の時代劇です。
 時代劇というと、斬り合うシーンが多く、殺伐としたものを思い描く方も
多いでしょうが、この作品は、ユーモラスな、ほのぼのとした内容です。

 若い藩士たちが社殿で隠れるシーンや、策略が成功としたと声を潜めて皆
で小躍りするシーンなど、普通の時代劇では見られません。

 入江たか子さんと団令子さんの、のほほんとした奥方たちの言動も、他で
は見られません。

 主演の三船敏郎さんは、当たり役の浪人ですが、他の作品とは一線をひく、
強いけれど、お人好しな性格をもった人物像も微笑ましいです。

 しかし、ラストの仲代達矢さん扮する室戸半兵衛との一騎打ちは、迫力満
点です。一瞬の勝負ですが、胸がドキドキしてきます。
 決めゼリフの「あばよ」も最高です。

 さてこの作品は最近、織田裕二さんでリメークされました。こちらも観る
と、織田さんが三船さんのセリフを正確にマネしているのがよく判ります。
どことなく声も似て聞こえるのが楽しいです。敵役は、豊川悦司さんが、こ
ちらも好演されています。

 この作品をご覧になる時は、日本酒を、徳利にでも入れて、冷でグイっと
飲むのが、一番合うかと思います(笑)。

ポイント

笑える度 :★★★★
ファイト度:☆☆☆
ほのぼの度:★★★★
スッキリ度:☆☆☆
感動度  :★