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No.301 二十四の瞳

作品名

「二十四の瞳」’54年度作品

監督

木下 恵介

出演

  • 高橋 秀子
  • 笠 智衆

あらすじ

 昭和3年4月、小豆島の岬の分校に、一人の新卒先生が赴任してきた。彼
女の名前は大石(高橋 秀子)といい、彼女の父親も教師をやっていた。そ
の関係で彼女も教師を目指したのだった。

 初の教え子は12人の1年生だった。この分校は4年生までで、5年生か
らは離れた本校へ移るのだった。同僚の男先生(笠 智衆)と共に岬の分校
を守るのだった。

 教え子や村人たちは、東京の女学校を卒業したハイカラな大石先生に、面
食らったが、徐々に大石先生の人柄に気を許していった。

 そんなある日、子供の他愛無いいたずらに、大石先生は大怪我を負ってし
まった。大石先生と会えないのをさびしく思った子供たちは、大石先生の自
宅まで歩いていくことにした。でも、子供たちが思うほど、大石先生の家は
近くなかった。この事件で、大石先生は分校から本校へと、転任することな
る。

 子供たちの将来や迫り来る戦争への脅威、大石先生は気を病めるが、何ら
解決できない教師という仕事に憤りを感じ、教師を辞めてしまう。

 時は移り、分校で再度教鞭をとることになった大石先生の元へ、かつての
教え子たちが集まった。

お勧めポイント

 壺井栄さん原作のヒューマンドラマです。
 昭和9年の小豆島が舞台というだけに、素朴な子供たちと、その言動を知
ると、現代の恵まれた生活で過ごす自分は肩身が狭く感じます。

 子供たちが大石先生の家へ歩いていくのですが、近くに見えて、実は8K
mもある道のりを歩いていたのです。このシーンでもそうですが、子供たち
がそれぞれの人生を、課された至難の道を、一生懸命に歩んでいこうとする
ことに涙してしまいます。

 主演の高橋秀子さんはもちろんですが、子供たちが、とても演技とは思え
ないほど、自然なものであるのに驚きます。子供たちの24の瞳には、無限
の可能性が秘められているのが、よく分かります。その子達をどのように育
てていくのか、教師というのは本当にたいへんな仕事だと思います。一生懸
命に子供たちを支援しようとしますが、時代の波に押し流されて、ただ一緒
に泣いてあげるぐらいしかできないと言うセリフも、悲しく思えました。

 共演にもすごい人たちが登場しています。まず、男先生役の笠智衆さん、
この当時はおいくつだったのでしょうか。おじいちゃんに見えてしまうのは
役柄だけなのでしょうか(笑)。
 また、浦辺粂子さん、浪花千栄子さん、清川虹子さん、さらに、成人した
子供として田村高廣さんと、豪華な顔ぶれです。これ以外にも多くの方が登
場してきますが、私もお名前は知っていても、実際には分からない人が多数
登場しています。

 笑えるシーンに、大石先生が村人達から頂いたお見舞い品に、そのお礼を
するところです。大石先生の人柄がよく分かるシーンでもあります。

 昔、聞いたことがある童謡がたくさん登場します。なかでも笑ったのが「村
のかじや」の歌詞です。これは物語の冒頭で出てきますので、何を歌ってい
るのか、よく聞いてみてください。どうやら歌詞は独自なもののようです。

 いよいよ春ですね。この作品で、学生時代を、そしてその当時の日本文化
を思い出してみてください。

ポイント

笑える度 :★★★
ファイト度:☆☆☆☆
ほのぼの度:★★★★★
スッキリ度:☆☆☆
感動度  :★★★★