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No.271 父の祈りを

作品名

「父の祈りを」’93年度作品

監督

ジム・シェリダン

出演

  • ダニエル・デイ=ルイス
  • ビート・ボスルスウェイト

あらすじ

 1974年10月5日、ロンドン郊外ギルフォードでIRAによる爆弾テ
ロが発生した。その犯人としてジェリー・コンロン(ダニエル・デイ=ルイ
ス)が取調べを受け、そして彼と彼の父親、および親類、友人までが有罪の
判決を受けて投獄されてしまった。
 彼は有罪か?いや彼は犯人ではなかった。しかし、世間が注目する事件だ
っただけに、誰かが犯人として捕まらねば、警察を初めとする威信に関わる
のだった。
 投獄されたジェリーは自暴自爆な毎日を過ごすようになった。でも彼の父
親ジョゼッペ・コンロン(ビート・ボスルスウェイト)は、無実を叫び続け、
再審の運動を始めた。そしてジェリーの暴走も諭し続けた。
 父親ジョゼッペは無実を叫びつつ、牢獄で報われないまま死んでいった。
それを見たジェリーは、父の名誉のため、真実を究明するため、再審運動を
始めた。

お勧めポイント

 これはフィクションです。
 全編を通じて重い空気が伝わる中、これが現実に起こった事件、出来事な
のかと、ついつい目を背けたくもなります。主人公が極限状態まで追い詰め
られ、発狂寸前になるシーンは凄惨としか言いようがありません。でも彼は
独りではなかった。彼を見守ってくれる人々がいたから、彼は耐え、そして
無実を証明できます。
 衝撃のラストシーンは、思わず観ている自分もこぶしを振り上げて、やっ
たと叫んでしまいました。そのシーンで主人公の堂々とした態度は、恐怖で
泣きじゃくっていた人と同一人物かと思えるほどのものです。
 主人公の父親役を演じるビート・ボスルスウェイトさんは、おそらく見覚
えのある人です。それほど多くの作品で、名わき役を演じられています。こ
の前、ご紹介しました「アミスタッド」や、「シッピング・ニュース」、「ブ
ラス!」「マイ・スウィート・シェフィールド」に出られています。この作
品でも、この父親がいたからこそ、主人公は立ち直り、無実を叫び始めるの
です。
 この作品の監督、脚本等を手がけたジム・シェリダンさんは、アイルラン
ド出身で、渡米し成功しました。その生い立ちからアイルランド関わる内容
や自伝的な内容を数多く手がけられています。「イン・アメリカ/3つの小
さな願いごと」、「マイ・レフトフット」などがあります。
 この作品を観ると、自由のありがたさがひしひしと伝わってきます。それ
は空気のように、普段はその恩義を感じないものです。

ポイント

笑える度 :★
ファイト度:☆☆☆☆☆
ほのぼの度:★
スッキリ度:☆☆☆☆☆
感動度  :★★★★★