作品名
「第三の男」’49年度作品
監督
キャロル・リード
出演
- ジョセフ・コットン
- オーソン・ウェルズ
あらすじ
親友ハリー(オーソン・ウェルズ)からの招待で、アメリカからウィーン
へ仕事を求めてやってきたホリー(ジョセフ・コットン)は、売れない三文
小説家。ところがウィーンに着くなり耳にした言葉は、ハリーが死んだとい
うことだった。
ハリーとは幼馴染で、一番の友人だと自負していたホリーは、死因の調査
を開始した。彼は自動車に引かれたということだったが、ハリーが事故死し
た時、彼を担いだ男が友人2人だけでなく、もうひとり、第三の男がいたと
いう情報を発見した。どうやら闇市場がらみでハリーは殺された疑いが濃厚
になり、正義感の強いホリーは、警察関係者の忠告も聞かず、単身、真相を
追究する為、駆けずり回った。
いよいよ真相が明らかになってきた時、親友のハリーがどんな悪徳な商売
をしていたのか、それは殺されても仕方が無いほどのやり口だったことを理
解した。事情を知ったホリーはウィーンを去ろうと決意し、ハリーの恋人で
あり、密かに恋心を抱いたアンヌに別れを告げに行く。その帰り道、死んだ
はずのハリーの顔を目撃した。
お勧めポイント
出番が少なく、さして重要な役でもないと考えたオーソン・ウェルズは、
当初出演を拒否していました。しかたなく代役で撮影を開始したが、たまた
ま現われたオーソン・ウェルズに1カットだけの出演を頼んだところ、彼は
乗り気になり、全シーンに登場することになりました。しかし、「第三の男」
といえば“オーソン・ウェルズ”、“オーソン・ウェルズ”といえば「第三の
男」と言えるほど、彼の代表作になっています。映画の中盤までは彼が登場
することはなく、彼が当初考えたとおりです。しかし死んだはずのハリーが、
窓の明かりに照らされて映し出されるシーンを見た瞬間、オーソン・ウェル
ズにスポットライトが当ります。そのシーンでのテレ笑いが何とも言えず、
色々なことを物語ってくれています。そしてラストシーンでも、彼の目や手
で多くのことを伝えてくれます。
この作品の全編を通じて流れるアントン・カラスが奏でるチターの音色は
なんとも物悲しく、全編を盛り上げてくれています。最近、ウクレレが流行
していますが、ウクレレの音色が温かく心地よいのに対して、チターの音色
は物悲しく、哀愁が漂います。このチターの音色に載せてアンヌが一人淋し
く街路樹の中を、タバコをくねらせながら待ち受けるホリーの前を通り抜け
る名ラストシーンが、木枯らし吹き荒れる今に良く似合っています。
ポイント
笑える度 :★
ファイト度:☆☆☆
ほのぼの度:★★★
スッキリ度:☆☆☆
感動度 :★★★★


