配信

No.632 『また、必ず会おう』と誰もが言った。

作品名

「『また、必ず会おう』と誰もが言った。」 ‘13年度作品

監督

古厩 智之

出演

  • 佐野 岳
  • 杉田 かおる
  • イッセー尾形

あらすじ

 熊本の高校生・香月和也(佐野 岳)が学友に、東京に行った時の自慢話をした。学友からその時の写真を見せろと言われた。その場は何とか取り繕ったが、来週、その写真を見せることになった。
 
 実は彼は東京に行ったことがない。何とか証拠写真を撮るために、親に嘘をついて旅費を手に入れた。
 
 早速、東京タワーで証拠写真を撮ったが、財布を盗られたのに気付いた。動揺している間に、帰りの飛行機にも乗り遅れてしまった。
 
 仕方なく空港で一夜を過ごそうとしたが、土産売り場の店員・田中(杉田 かおる)が声を掛けてきた。彼の事情を聞いて、家に泊めてくれた。優しい女性だと世間を知らない香月は安心して着いて行ったが、家に着くなり、説教されてしまった。さらに田中の息子が住む静岡に、誕生日プレゼントを届けるように言付けられてしまった。静岡までの電車賃だけはくれた。
 
 静岡の田中に指定された家を訪ねた後、今度はデコトラ運転手の柳下(イッセー尾形)に出会った。デコトラに便乗させてもらうことになったが、柳下も単に優しい人ではなかった。いえ、本当は優しい人ですが。

お勧めポイント

 何かの理由があって旅をするのがロードムービーと呼ばれるものです。その旅を通じて成長する主人公が描かれます。本作は、その王道を行く物語です。
 
 主人公は熊本の高校生で、何一つ不自由なく、何となく暮らしています。どうでもいい自慢話を本当にするために、親に嘘をつきます。
 
 世間は温かいようで冷たい。彼に出会った人は皆、彼の本質に気づきます。それを彼に指摘する必要はないのですが、彼を見ていたら、ついつい説教してしまいます。無視しても良いのに。そう考えると世の中は優しいです。
 
 短い旅の間に、彼は多くの気付きに出会います。世の中、色んな人生を歩んでいる人がいることを知ります。これはお金だけでは手に入れることが出来ない貴重な経験です。
 
 本作で主人公が成長していく様子を見ていると、観ている人もほっこりと温かく、自分も成長したかのように思ってしまいます。
 
 タイトルの『また、必ず会おう』という言葉ですが、出会った人たちが皆そう言って去っていきます。『さようなら』だと二度と会えない気になりますが、『また、必ず会おう』と言えば、また会える気がします。また会いたい人にはこのセリフも良いですね。
 
 車窓から見える景色を眺めながら流れるBGMは、ロードムービーに良く合います。本作で流れる音楽も耳に心地よく、ゆったりとした気分になれます。

ポイント

笑える度   ★★★
ファイト度  ☆☆☆☆☆
ほのぼの度  ★★★★
スッキリ度  ☆☆☆☆
感動度    ★★