作品名
「君が心をくれたから」 ‘24年度作品(TVドラマ)
監督
宇山 佳佑
出演
- 永野 芽郁
- 山田 裕貴
あらすじ
逢原 雨(永野芽郁)と朝野太陽(山田裕貴)は長崎の同じ高校に通っていた。悲しい生い立ちから陰キャラになってしまった雨は、皆から虐められていた。
下校時の急な雨に困っていた雨に、傘を差し出したのは太陽だった。それが二人の出会いだった。太陽は言った「この相合傘は運命の出会いだ」と。
二人は少しずつ言葉を交わすようになった。卒業後はパティシエと花火職人になる夢を誓いあった。雨は東京の有名パティシエ店に就職が決まり長崎を出て行った。
数年後、雨は長崎に帰ってきた。それはパティシエとして上手くいかなかったことを意味した。一方、太陽は花火職人の父親の下で修行中の身であった。
二人は再会したのもつかの間、太陽は車にはねられて瀕死の重体になった。悲しみに暮れる雨の前に、あの世から「案内人」が現れた。
彼は太陽を迎えにきたのだが、雨が心を差し出すのなら彼を助けることができると提案した。その条件は雨の五感を順番に奪っていくことだった。
太陽は目を覚まし、あれだけの重症が夢のように回復へと向かった。雨と太陽は以前のように楽しい日々を過ごしたが、これはこれから起こる悪夢の前の平和なひと時に過ぎなかった。
お勧めポイント
700回を迎える本号に相応しい作品をどれにすべきか悩みました。そんな折、SNSで本作の話題を偶然見かけました。「一瞬で自分の悲しみを消し去り、愛する人への喜びを満面の笑みで表現する演技が凄すぎる」といったものでした。そのシーンだけで見てみようという気になりました。
最終回放映直前という時期で、第1回がネット無料配信でした。この第1回から泣けること、泣けること、本当によく泣けました。こんな作品に出合ったのは以前ご紹介した「マイ・フレンド・フォーエバー」以来です。
生まれた時に妖怪たちに肢体を奪われ、成人後に妖怪退治を繰り返し、自分の肢体を取り戻していく「どろろ」という手塚治虫さんの作品がありましたが、本作はその逆のような流れです。でも五感があった状態から、一つずつ奪われていくのですから、本作の主人公の方が数段悲しい運命です。
本作は「このあと、こうなるのだろう?」という予想が「その予想以上に大きな展開」として起こります。「そんなバカなことが現実にはあり得ない」と思う人にはあまり興味がないかと思いますが、そもそも「あの世からの案内人」が登場する時点で、これは現実の話ではないのだから、”夢”のある展開で良いと安堵しました。
本作の登場人物はみんな人には言えない悩みを抱えています。その悩みが少しずつ和らいでいくのも心を打たれます。
永野芽郁さん、山田裕貴さんの代表作になったと私は思っています。二人の姿を見るだけで本作の主人公が浮かんできます。特に永野芽郁さんの表情と声のいずれもが、主人公の雨さんと重なってしまいます。
本作の最後はどうなるのでしょうか?やっぱり予想していた展開で、これで良いのか?と悩みましたが、これしかないだろうと、これこそハッピーエンドだよなと、また泣けました。
夏の間にご覧頂けたら、花火を見に行きたくなると思います。全部で9時間超の内容ですが、これからは一気に見れますよ。どうぞ生きていることに感謝して本作を楽しんでください。
末筆で恐縮ですが、これからもよろしくお願いします。どうぞ健やかにお過ごしください。
ポイント
笑える度 ★
ファイト度 ☆☆☆☆☆
ほのぼの度 ★★★
スッキリ度 ☆☆☆☆
感動度 ★★★★★


