作品名
「ビッグ・アイズ」 ‘14年度作品
監督
ティム・バートン
出演
- エイミー・アダムス
- クリストフ・ヴァルツ
あらすじ
1958年、マーガレット(エイミー・アダムス)は一人娘のジェーンを連れ
て家を出た。その当時は女一人で生計を立てていくのは厳しい時代だった。
それにも関わらず別居を決意するのは相当の勇気がいる行為だ。
仕事の経験のないマーガレットは、唯一の特技である絵を描いた。バザー
ルで似顔絵を描くが、小銭を稼げる程度だった。彼女の絵に登場する人物に
は一目で判る特徴があった。瞳が異常に大きいのだ。マーガレットは「目は
色々なことを訴えている」ことを強調して表現した。
ある日、バザールで同じ画家から声を掛けられた。ウォルター(クリスト
フ・ヴァルツ)も売れない画家だった。
裁判所から連絡が届いた。元夫が娘の養育権を主張していて、シングルマ
ザーのマーガレットは窮地に立たされた。ウォルターはマーガレットに結婚
を申し込み彼女の養育権を守ってくれた。
マーガレットに絵の才能はあっても商才はなかった。ウォルターの商才は
なかなかのものだ。結婚したのだからとウォルターの名字である「キーン」
を絵の署名に使った。
ウォルターは必死に絵を売り込むが誰も「ビッグアイズ」に興味を示さな
かった。それに苛立ったウォルターはちょっとしたゴシップで新聞の一面を
飾った。その日からマーガレットの絵は売れ始めた。だがウォルターはマー
ガレットの絵「ビッグアイズ」シリーズを自分の作品だとふれ回っていた。
マーガレットもそれを知ったが、夫婦で金が必要なのだからと黙認すること
にした。
だが絵が売れるとともにウォルターの態度は変わった。
お勧めポイント
瞳が訴えるものは何か
これは実話です。
生活のため、さらには娘のため、絵が売れるために彼女の著作であること
を隠してしまいます。他人に隠すだけでなく一人娘にも隠してしまい、その
ことに心を痛めるようになります。
夫のウォルターは最初こそ優しく雄弁な男でしたが、どうも絵の才能は皆
無で口だけの画家だったようです。でも次々と人々の心に訴えかける才能や
ポスターなど新しい売り方を考えるアイデアは一流のようです。それがため
、マーガレットは本当のことが言えなくなってしまいます。泥沼とはこのこ
とですね。
物語の後半はウォルターの異常さが際立ってきます。ここまでひどい男だ
とは思いもしませんでした。それにこれが実話だというのは背筋がぞっとし
ます。これもDVと言っていいのでしょうか。テレンス・スタンプさんも出演
されていますが、彼が主演した「コレクタ」を思い出してしまうほど異常な
男です。
この作品のテーマに取り上げられている「ビッグアイズ」ですが、どの絵
も人を惹きつけます。何かを訴えたいけれど、それが出来ずにじっと我慢し
ている。海よりも深く、海よりも広い世界に、たった一人で生きている少女
の姿が、その瞳の中に映っているように思いました。読者のみなさんにはど
のように見えるでしょうか。
すごい展開ですが、ほとんどのシーンはユーモラスに描かれていて、苦笑
してしまうことも多々あります。エンドロールまで楽しめるのはウォルター
の人物像を滑稽に面白おかしく描いたからでしょう。特に裁判のシーンはこ
れがマジなのかと驚いてしまいます。実際、マーガレットの立場だったらど
んなに苦しい日々だったのでしょうか。
この週末はこの作品を楽しんでください。
ポイント
笑える度 :★★
ファイト度:☆☆☆☆
ほのぼの度:★★★
スッキリ度:☆☆☆
感動度 :★★★★


