作品名

「光る川」 ‘25年度作品

監督

金子 雅和

出演

  • 華村 あすか
  • 葵 揚
  • 有山 実俊

あらすじ

 1958年、長良川の山間の村でユウチャ(有山実俊)は暮らしとった。ある日、紙芝居が近所にやってきたと婆から聞いて見に行ったとさ。

 演目は「鵜の眼(まなざし)の伝説」という昔からこの辺りに伝わる話じゃった。

 鵜の眼のような青く澄んだ淵が、この先にある。その近くに常吉という働き者の男が住んでおった。常吉には子どもが二人、上の娘はお葉(華村あすか)といい、おっ母を亡くしてから常吉と弟の枝郎(有山実俊)を世話していた。器量の良い、評判の娘だった。

 お葉と枝郎が川で洗い物をしとると、そりゃ驚くばかりに真ん丸のお椀が流れてきたそうな。

 その時、遠くから時を刻むかのような音が、お葉たちを手招きしているかのように聞こえてきた。二人は導かれるように山の奥へと進んだ。

 そこには山の民と呼ばれる木地屋(キジヤ)がおった。その一人はお葉が拾ったお椀を作った朔(サク:葵揚)という若者じゃった。

 お葉と朔はお互いを好いてしもうた。
 じゃが、里の娘と木地屋の男との恋はご法度じゃ。

 土地に根付いて暮らす里の者と、伐採する木を求めて流浪する木地屋では、お互いを理解することは叶わぬ。苦労するだけで幸せにはなれぬ。

 お葉は朔に草笛を吹いて出発を伝えてと嘆願した。
 それを合図に青い淵で待ってると。

 出発の日と決められている満月の夜がやってきた。

お勧めポイント

 同じ人間なのに、風習の違いから添い遂げることを誰も許さない。そんな悲劇の物語です。

 物語は二人の悲劇で終わるのではなく、後世に続く伝説を描いてます。そこに登場するのが伝説の始まりであるお葉の弟枝郎と瓜二つのユウチャを、有山実俊さんが一人二役で演じてます。枝郎はケガで声を出せなくなっていた、ユウチャは習わしに従って声を出さずに、嵐が迫った青い淵へ、近づいていきます。

 青い淵には未だにお葉と思われる女性の声が聞こえると、里の者は近づかないでいます。その山奥にユウチャは一人で進んでいくのです。このユウチャは孝行者で、家族だけでなく、徘徊しているお葉や朔の幽霊にも誠実に向き合おうとします。幽霊たちに手を振るシーンは涙腺も緩んで微笑んでしまいます。なんて純粋な子どもなんだろう!

 新月に伐採し、満月に移動するというのが木地屋の風習だそうですが、新月のことを朔とも言うそうです。新月は地球からは影の部分だけで真っ暗に、満月は月全体が丸く明るく輝いて見えます。「新月」は”始まり””リセット”、「満月」は”達成””完了”と言えます。

 お葉と朔の伝説はどのようになるのでしょうか?
 「川を、時を、さかのぼっていく」このキャッチフレーズはすばらしいです。

 さて、2026年5月31日(日)は、5月二度目の満月「ブルームーン」です。幸せを呼ぶと言われてます。思い出したら夕方に空を見上げてみてくださいね。

ポイント

笑える度   ★★
ファイト度  ☆☆☆
ほのぼの度  ★★
スッキリ度  ☆☆☆
感動度    ★★★★