No.725 サイレントラブ
「サイレントラブ」 ‘24年度作品
内田 英治
沢田蒼(山田涼介)は不良だった。いつもの喧嘩で友人を庇い喉を刺され、相手を殺した過去をもつ。蒼は事件後、声を出せない、いや出さないのか、話さなくなった。今、蒼は音大で校務員をしている。
甚内美夏(浜辺美波)は、音大ピアノ科の学生だ。ピアニストを目指していたが、交通事故で視力を失った。将来を悲観した美夏は、キャンパスの屋上から自殺を試みた。
美夏を助けたのは、偶然屋上で作業をしていた蒼だった。何もなかったかのように美夏の母親たちが美夏を連れて行った。その後にはガムランボール(鈴)だけが残されていた。
美夏はピアノの練習を辞めなかった。練習室に毎日通い続けた。だが練習室が施錠されている日もあった。それをコッソリと開けてくれたのは蒼だった。
それが誰かを確認出来ない美夏。美夏に声を掛けられても応えられない蒼。でも蒼が腰に付けていたガムランボールの鈴の音だけは、やさしく互いの心を繋いだ。
山田涼介さん、浜辺美波さん主演のピュアなラブストーリーです。
ラブストーリーと言えば、ささやく甘い会話が必須のように思えます。この物語ではそれは不可能です。静かな空気の流れと鈴の音、それぞれの表情としぐさ、それがすべてです。
山田涼介さんの役は、言葉が聞こえたのは過去の喧嘩シーンだけ。あとは身体だけで演じるのは、本当に難しいことだと思います。
浜辺美波さんの役は、目が不自由な人です。どこを見てセリフを言うのか、これも普通に演じる以上に、場面と役柄を考えて、役になりきって表現する難しさがあります。
人はある感覚が衰えている時、そのほかの感覚が研ぎ澄まされると聞きました。だからこそ、お互いの心が共鳴し、真実を手繰り寄せたのかなと思います。ガムランボールだけは二人を知っています。最後は涙です。
別世界に暮らす二人とそれを繋ぐピアノ。その中間に蒼の友人も入ってきますが、この三人の絆も涙です。蒼とこの友人の無言での約束は泣かせます。
久石譲さんのシンプルな曲も、ガムランボールの音色によくあっています。
どうぞゆったりとした休日の午後にご覧ください。
笑える度 ★
ファイト度 ☆☆☆
ほのぼの度 ★★
スッキリ度 ☆☆
感動度 ★★★
