No.737 カフーを待ちわびて
「カフーを待ちわびて」 2009年度作品
中井 庸友
沖縄の与那喜島で雑貨店を営んでいる友寄明青(玉山鉄二)は、のんびりした日々を過ごしていた。明青は、ラブラドール・レトリバーのカフーと暮らしていた。食事は裏に住むおばあが面倒をみていた。おばあは、小さい頃から世話になっていて、島唯一のユタ(民間霊媒師)だ。
おばあは、お告げを聞いた。明青の所にカフーが届くそうだ、と聞かされた。カフーは島の方言で、「いい知らせ」、「幸せ」のこと。
突然、幸(マイコ)という人から手紙が届いた。それには「私をお嫁さんにして下さい」と書かれてあった。島の仲間と出掛けた旅行先の神社のことを思い出した。親友のワタル(勝地涼)から独身はお前だけやからとそそのかされ、流行っていた「嫁に来ないか」という歌詞と島名、名前を書いた絵馬を奉納したことがあった。
誰かのいたずらだと思ったが、本当に幸という女性が訪ねてきて、家に居ついてしまった。幸はお転婆だったが、気立てもよく、明青の面倒を一心にみた。おばあも早く嫁にしろと急かすようになった。
島にリゾート開発の話があった。島は窮乏していたから、賛成派が多数だ。ワタルと明青、おばあの反対派は数人だった。
原田マハさんの小説を映画化したものです。
長閑な島の暮らし、「涙そうそう」の映画が懐かしく感じる沖縄方言のイントネーションの数々、見ているだけで心が和んできます。
幸の正体は何なのか、どういう目的で島へ、明青のところへやってきたのか。リゾート開発会社からの罠だという噂も出てきます。明青自身も何が何だか分からなく判断に困ります。でも一緒に暮らしているうちに、お互いが抱え込んだトラウマが同じようなものだと感じるようになります。
私は原田マハさんの作品が大好きです。どれを読んでも、よく考えられた物語だと感動と涙を誘います。この物語は、ちょっと違うという感覚から始まったのですが、話が進むうちに、やはり原田マハさんの作風だと納得できるようになっていきました。
物語後半で幸が話す独り言は、”無償の愛”そのもののだと泣けました。ラストも原田マハさんなら、こうするだろうなという思惑どおりのエンディングで、また号泣です。
こんな不思議な物語だったんだと、見終わってから、もう一度観てみたい気になります。カフーという犬が登場するヒューマンドラマだと思っていたら、大間違いでした。この作品でいう”カフー”という言葉は、「あらすじ」で説明した言葉を意味していました。
どうぞ、この作品で不思議な物語を楽しんでくださいね。
笑える度 ★★★
ファイト度 ☆☆☆☆
ほのぼの度 ★★★★★
スッキリ度 ☆☆☆☆
感動度 ★★★★
